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私の第三十四夜をつづります。

旅のメモ:2023年11月20日(長岡宮跡を訪ねる)

朝の富士(11月20日 新幹線から) 11月20日、小田原で新幹線に乗り、京都に向かった。 前回の一人旅は2022年9月…京都からの帰りの新幹線では集中豪雨のために車内で1泊する羽目となった。今回の一人旅…無事に予定通りこなせるだろうか…。不安と期待で張りつ…

比々多神社周辺の今昔の姿を訪ねる。

26日午後、久しぶりに伊勢原市・比々多神社に向かい、「~比々多一万年の旅~ 比々多の今昔を歩くツァー」に参加した。 晩秋らしく菊の花が配された比々多神社境内から、化粧塚古墳(円墳)、前畑遺跡(縄文時代、弥生時代後期~古墳時代前期の集落跡)、下尾…

鎌倉国宝館で「實雄」に出会う。

28日、強い風が11月の空を真っ青にしていた。 午後、鎌倉に向かった。観光客であふれる小町通りを、老体の反射神経を精一杯駆使してすり抜け、黄葉・紅葉に飾られた鎌倉国宝館にたどり着く。 特別展「国府津山 寶金剛寺-密教美術の宝庫-」…これまで、寶金…

乙訓寺の仏様。

安祥寺の十一面観音様を訪ねたあと、JR長岡京駅で降り、バスで乙訓寺へ向かった。乙訓寺に着くと、再び小雨に見舞われた。(境内で出会った方に会釈をすると、ゆるやかな声で「よう おまいりですぅ」と返された。やはり、京都なのだなぁ…と感じ入る。) 乙訓…

山科の十一面観音さま。

20日朝、京都・山科駅。西の空には虹が架かっている。通り雨だった。 山科駅から坂をのぼり、山の麓の安祥寺に向かう。(この道を20代の私ものぼった…あの時、仕事で初めて伺った頼りない私を迎えてくださった先生はお元気に過ごされているのだろうか…。当時…

11月の夕空。

11月になって外出の機会がふえた。 家族に誘われて熊野古道の旅にも出かけた。(初めての紀州は良いところだった。念願の「那智の滝」も拝することができた。) ただ、外出先での緊張をひきずり、常に心がソワソワとして落ち着かない。 そして明日からは一年…

枯れてしまった一本松。

4日、水辺の楽校に散歩に出かけた。秋の三連休…水辺にはなぜか人の姿が少ない。 茶色に広がる畑の向こうに色とりどりのコスモスが咲き残っている。ハクセキレイたちが畑の中をピョンピョンと跳ね歩いている。畑から急に飛び立ったヒバリたちが上空を勢いよく…

東京の空の下で。

日本国憲法が公布された記念の日…その11月3日、東京に出かけた。 そして、東京長浜観音堂で薬師様を拝し、上野で『ノルマ』を聴いた。久しぶりに長浜の仏様に逢う。久しぶりにオペラを聴く。ずっとずっと待ち望んでいた一日だった。本当に私には贅沢過ぎる一…

平塚の石仏…お釈迦様と阿弥陀様に出会う。

29日、「上吉沢の石仏めぐり」(平塚市博物館)に参加した。 今回のフィールドの吉沢地区は土屋地区とともに、私には特別に魅力的な地域だ。(その自然も歴史も、海辺近くに育った私には未知の deep な空間に感じられるから。) そして、久しぶりに秋の上吉沢…

国府台野球場の発掘現場で…溝の謎は続く。

28日、調査中の国府台野球場の見学会が開かれると知り、再び市川市に向かった。 現場に着き、配布資料(第28-26地点1区・2区)を見ながら、まず1区で担当者の方の説明を聞く。今回、想定通りに「国衙の主要施設を区画すると推測される溝の北東隅(1区:「溝…

「The moon of the thirteenth night is beautiful.」と「十三夜的月亮很美。」

Google翻訳で「十三夜の月、綺麗ですね」の英語訳と中国語訳をたずねてみた。 どちらの翻訳音声も素敵だった。とくに中国語の音声は詩的に響いた。(ふだん耳にする「Duolingo」の英語は個性的な声と発音だけれど、Google翻訳の音声は淡々として聞きやすい。…

阿弥陀様…弥勒様…その違い。

19日に浄楽寺で阿弥陀如来様に、21日には称名寺で弥勒菩薩様にお目にかかった。 時を経ずして拝したこともあって、それぞれの仏様の印象の違いは、ことに鮮やかだった。 そして、その鮮やかな違いは、”如来”と”菩薩”という仏様の”在り方”そのものの違いなの…

浄楽寺:闇と蝋燭の空間で。

19日朝、横須賀の浄楽寺に向かった。 2018年4月に初めて拝観してからすでに五年が経った。当時、阿弥陀様の特徴的な視線が”彫眼”から発していると知って印象深く感じたことなどを思い出す。そして、今日はどのようなお顔をしているのだろうかと想像する。 境…

今年も秋がめぐってきたよ。

ベランダの窓から、金木犀のかすかな香りが迷いこんでくる。今日は貴方の誕生日。でも、ささやかな贈り物を届けることも、電話で貴方の明るい声を聴くこともない。 貴方がもういない秋。どうして? なぜ?逢いたいよ。声を聴きたいよ。 みんな、知らないうち…

「足柄」の神様・仏様たち。

秋晴れの13日、神奈川県立歴史博物館で開催中の『足柄の仏像』展に出かけた。 これまで、印刷写真で眺めていた仏様・神様が目の前に…。(あぁ、あのお像はこのような木肌、このような色合いだったのか…こんなふうな立体感だったのか…そんな驚きの連続だった…

美術館のラスター彩の器たち。

待ちに待った季節になった。 7日午後、「藤田嗣治の初期作品」を見ようと、平塚市美術館に出かけた。20代前半の彼が描いた「おことさん」と「自画像」には、とても繊細でやわらかで丁寧な空気感と…何よりも、若者のまっすぐな眼を感じた(彼の作品を、黒田清…

沖縄県知事の「判断保留」の重み。

今朝、開いた新聞1面のTOPは「辺野古 知事は判断保留」の記事だった。記事の横に掲げられた写真の県知事の表情から、その判断の重さが伝わってきた。 辺野古の最高裁判決について、9月初めに沖縄県(知事)宛にメールを出したあと、不安がまったく無かったわ…

満月に鴨長明を想う。

今夜は満月。 ベランダで月を待つ。 黒々とした建物の端の空がほのかに明るい。 月が近づいている。 おぉ…月がむら雲の波間を泳ぎながら、9月の夜空を渡ってゆくよ…。 雲があってこその月の光…おごそかな光。 『鴨長明集』より 36 くまもなき かゝみとみえて…

本当に久しぶりの海…。

海まで散歩することなく夏が終わった…長くて暑かった…。 今や、衰えた陽ざしも風も、海へと誘っている。次兄の家にブドウを届けるついでに、夕焼けを見てこようと海に向かった。 (平塚ではおよそ、春分は六時頃に夜が明け六時頃に陽が沈む。秋分は五時半頃…

仏様たちに会いに行く(2023.09.16)

16日、東京方面に出かけた帰り道、上野の東博に立ち寄った。その日、「京都・南山城の仏像」展が始まったのだ。 午前中、少量の水分だけで蒸し暑い中を歩き続けたせいか、よろよろになった身体で本館にたどり着く(なつかしいユリノキの木陰がそこにあった ……

「下総国府・葛飾郡衙」に会いに行く③

素晴らしいロケーションの会場は満席だった。小笠原好彦氏による文献学に基づいた講演「古代の下総と葛飾郡衙」が始まった。 私にとっては久しぶりの文献資料のレジメだった。眼を通しながら、下総国が11郡を擁する大国であること(相模国は8郡の上国)など…

「下総国府・葛飾郡衙」に会いに行く②

その日の会場である和洋女子大の高層階の会議室には、素晴らしく大きな窓が広がり、外界を屏風絵のように切り取っていた。その西向きの窓からは、ゆるやかに蛇行する江戸川の流れ、スカイツリーをとり囲むビル群、首都圏を覆う大きな天蓋を一望できた。また…

「下総国府・葛飾郡衙」に会いに行く①

9日朝、予定より早く家を出て、市川へと向かった。午後の講演・シンポジウム「下総国府と葛飾郡衙 最新の調査成果と今後への展望」が始まる前に、国府台駅から県営住宅が建つ第192地点まで、『図説 市川の歴史』(市川市教育委員会 2006年)に記された”卑弥…

考古学者の「百済観音」

『疲れたなぁ…暑いなぁ…』『暑いなぁ…疲れたなぁ…』それでも、光や風がやわらぎはじめた。少しずつ、本も読めるようになってきた。 先日、古本屋さんから届いた『百済観音』(浜田青陵 平凡社)を開くと、古書独特の湿った匂いがした(『百済観音』の文章に…

ようやく8月が終わってゆく。

今日で8月が終わる。長かった8月。暑すぎた8月。今日で8月が終わる。灼熱の日々が嘘だったかのような季節が用意されるまで、もう少し? 8月28日の夕焼け 8月31日の薔薇(人魚姫の公園で) 夏が通り過ぎようとしていて、夕方にはその後ろ姿が見えたりする。見…

終わらないし、消えないさ。

朝、開けた窓から聴こえてくるのは、ジリジリとした蝉の声ではなく、秋の虫の秘かな声に代わっている。とことん暑かった夏もじきに終わってゆく。何ごともなかったように。 でも、福島も辺野古も、そんなふうには終わらないさ。虚しいけれど、声は消えないさ…

高原の蝶と花たち③

私は湿原の風景が好きだ。 なぜだろう?湿原という…ある意味で…閉じられた空間の中でこそ、解放され、その風景のなかに消えてゆけるように感じるのは? 湿原を歩んでゆくうちに、しだいに日常の時間が遠のいて、記憶の底に沈んでいた世界…私より先に、あらか…

高原の蝶と花たち②

1泊した翌日は高峰高原~池の平湿原に向かった。 日本海へと抜けていった台風の余波だろうか、午後には雨が降りはじめるという。 それでも、雲間から洩れる陽ざしを喜ぶように、ひらひらと蝶が飛びまわる。少し標高を増して『涼しくなったかな?』と思うと、…

高原の蝶と花たち①

8月半ば、家族と信州の高原に向かった。 短い旅のなかで撮りためた蝶や花たち。昼間の高原は憧れの冷気からはほど遠かったなぁ…と思い返している。それでも、高原に咲くハクサンフウロたちの下葉は赤くなりはじめていて、季節は確かに秋へと移っているようだ…

所蔵品たちの境遇。

地方財政の厳しい現状のなかで、美術館・博物館の学芸員さんたちは理想と現実の gap に悩み、葛藤の日々を送っていることだろうな…と、これまでも感じてはいた。 しかし今日、一連の報道記事(毎日新聞:【美術品を「粗大ゴミ扱い」大阪府が地下駐車場で105…