enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015.7.4

 7月が近づいて、細い通りに早々と七夕飾りの竹が掲げられ始めると、いつも、『梅雨の七夕まつり…なぜ、この時期に?』と思う。そして、最近の梅雨は肌寒いことが多いな、とも思う。子どもの頃の七夕まつりは、夏の蒸し暑さと、歩くのもままならない人いきれの思い出と重なっているから。
 街の七夕まつりが始まった昨日の夕方、海に向かった。
 空を見上げると、鉛色の雲が広がっている。今にも降りはじめそうだ。それでいて、光は明るいような、澄んでいるような、不思議な射し方をしている。夕方の角度の陽射しが、あらゆるものになつかしい色合いを加えている。
 海岸に出ると、人影がなかった。昨夜からの雨を含んだ砂を踏んで、波打ち際に向かう。いつもよりずっと陸側へと、貝やヒトデが打ち寄せられている。羽根と骨格を残した水鳥のむくろも横たわっている。
 涼しい風が吹いた。じきに、傘をさすほどの雨が降り始めた。雨の中で海を見たのはいつだったろう。思い出せない。海に散歩に出てよかった。 

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モノトーンの海(7月3日)  
2015年の旧七夕の日は8月20日だという。20日の夜は晴れるだろうか。