2010年春以降、私が考古学の学びの場に参加する機会はめっきり少なくなった。
今、そうした感動の記憶はすでに薄れかけ、うっすらと埃が積もりはじめていた。
考古学が遠くなったな…そう実感しながら、18日、『発掘された日本列島展 2015』の見学会に参加した。一年ぶりに、列島展の古くて新しい遺物群を追ってゆくうちに、遠い歴史空間に生きていた人々の、強く確かなエネルギーを身近に感じた。専門家の視点を織り交ぜながらの分かりやすい展示解説にも刺激を受けた。積もっていた埃が少し払いのけられたように思えた。
なかでも、下野市の甲塚古墳の埴輪群に親しみを感じた。ずらりと並んだ人物埴輪たちには、子どもの頃に夢中になって見ていた『ひょっこりひょうたん島』の登場人物(人形?)と同じような雰囲気があったからだ。こうしたやわらかな微笑を漂わせた人物埴輪とともに眠った被葬者の生前の夢とは、いったいどのようなものだったろう、と思う。
一方で、2015年夏、そうした古代空間に漫然と浮遊している自分を疚しくも感じた。2015年夏の今、私がするべきことは何なのだろうか、と。
甲塚古墳の人物埴輪…右の女性像の水玉模様の衣装が新鮮だった。貝殻製?のスパンコールのような装飾品を縫いつけているのだろうか。別の機織形埴輪の女性像の復元図では、白地に赤の水玉模様の服装(ワンピース?)だった。太陽の意匠なのだろうか…と想像する。左の女性が右手に捧げ持つ柄杓状のものも、何だろう…と思う。柄の先端が突き抜けているわけではないようだ。突起はなぜ必要なのか。興味がつきない。