enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015.9.24

 父の命日にあたる22日、墓参りをした。兄、兄の家族も一緒だった。相模川右岸沿いに車で進む。遠くに丹沢の山並みを望む丘陵にたどりつく。
 私の父は65歳で亡くなった。私もじきに父の歳になる。この数年、そう思うことが多くなった。
 父は北海道の農家の長男に生まれながら、農業を嫌ってか、満州に渡ったという。私の知らない父については、子どもの頃に母から聞いた、”ノモンハンの生き残り”という断片的で特別な言葉がずっと記憶に残り続けた。「お父さんはあんなふうに身が軽いから。きっと、弾をぴょんぴょん避けて、生き残れたのよ」…母は、そんなことも言っていたように思う。
 その日、墓参りした家族の中で、父と血がつながっているのは私だけだった。というより、家族の中で私だけが父と血がつながっているのだ。不思議なことだ。兄は私よりずっと父思いだったから。偶然、兄も私も、それぞれ父の写真を持って行った。昔の白黒写真を見ながら、父のことを話題にした。秋らしい良い日だった。

 昨日の朝、少し呼吸が苦しいように感じた。老化と夏バテで息が上がるようになっているのだと思っていたけれど、そうでもないようだ。吸入薬を使ってみた。すぐ楽になった。
 今日は久しぶりに海に出かけた。小雨だった。浜辺では、すでに海水浴客のための更衣室も消えていた。夏はとっくに終わっているのだ。そんな人影もまばらな浜こそが、平塚の海の姿のように思えた。

黒と白の漂着木…伐採された黒い木塊は桜のようだった。
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