enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.4.8

 
 今年、図書館近くの桜が満開になった時、母を思い出した。
 そのけむるような桜色の横雲の下に、遠い母の姿を見たように思った。
 
 もう二十年も前のことだ。
 うららかな日だったと思う。
 海近くの母の家から、その桜の樹の下まで母と来た。
 
 あの頃の私は今よりずっと体力があった。
 家から車いすを押しながら町中を抜けて桜の樹の下まで行った。
 いっしょに夢のような誘うような桜を見上げ、そしてまた家にもどった。

 今年はなぜだろうか…もう母に桜を見てもらうことはできないのだ…と思った。


 『新撰和歌』(『新編国歌大観』)から
85    桜花 ちりぬる風の なごりには みづなきそらに なみぞたちける
111   さくがうへに ちりもまがふか 桜花 かくてぞこぞも 春はくれにし

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4月7日の嵐に耐えた桜

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4月7日の嵐に散った花びら

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春の紅葉(4月8日)…おととし生まれの葉が、この新芽の季節に紅葉して落ちたもの? それとも去年の葉? はたまた今年の新しい葉?…