enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.5.13

 12日、博物館に出かけた。博物館近くの時計塔のそばでスイカズラの花が咲きはじめた、と聞いた。
 文化公園の小道で、秋になればキンモクセイの花、カツラの黄葉の甘い香りにたちどまることはあったけれど、この季節にスイカズラの香りに気づいたことは?…と思った。スイカズラの花…そういえば、ミカンの花に似た芳香に惑わされる季節になっている。帰りに時計塔のそばのスイカズラをさがしてみようと思いながら、実際に帰る頃にはすっかり忘れてしまった。“やれやれ”…のつぶやきがふえてゆく。 

さみだれの 空なつかしく 匂ふかな 花たち花に 風や吹くらん   相模」

 12日は五月雨の空とはほど遠く、風も光も高原のように乾いていた。博物館近くの通りから、久しぶりに鮮やかな富士山の姿を見た。
 夕方、海に出かけた。波打ち際から浜辺一面に、前日の強い風で打ち上げられた海藻が点々とうずくまっている。海の底から運ばれてきたばかりの、濃い潮の香りがたちこめる。
 
 五月晴れだった空に夕焼けは広がらなかった。西空に富士山のシルエットが大きく浮かび上がってゆく。中空の三日月も白さを増してゆく。小さな三日月の下を小さな機影が横切った。こんな空を西に向かって高く飛んでゆく翼がうらやましい…。

5月12日の引き潮
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5月12日の夕波①イメージ 2

5月12日の夕波②
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