enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.7.23

 一昨日も、そしてカレンダーでは「大暑」の昨日も肌寒かった。夕方の街で、四つ角の植え込みに薔薇がまだ咲き残っていることに気がついた。
 近寄ると、ほとんどが枯れてゆこうとする花であるのに、最後の輝きを失わずにいた。そして、梅雨の雨粒をのせた花びらのふちの色合いが、その花の一生の年齢をあらわしているようにも見えた。
 
 その日のTVでは、沖縄のヘリパッド移設問題が報道されていた。反対する人々を害獣のように排除する機動隊の姿に胸が騒いだ。一夜明けて、22日の現地の異様な雰囲気を伝える動画を目にした。
 その画面のなかでは、バッグを肩にかけた若い女性が両手を広げ、何かを守るように機動隊員たちと対峙していた。別の一人の女性は、機動隊員数人がかりで、車上から力づくで引きはがされようとしていた。組織的な暴力に囲まれた彼女の表情は映っていなかった。ただ、その”無抵抗の意思”を表明しているかのような若い肉体を、虚しく痛ましく感じた。
 市民の一人の力はこれほどに弱い…不覚にも涙があふれてしまう。昨年の国会前デモで、まだこれほどの光景を目にすることはなかったから。
 今、遠い沖縄で繰り返されている光景は、いずれ東京の路上でも普通に見られるようになるのだろう。それでも、人々の意思、その動きや流れを根絶やしにすることなどできない。枯れてゆく薔薇の輝き一つ、おしとどめる力など、どこにもない…そう思った。

7月22日の街角の薔薇
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