朝から、空模様が移り変わってゆく。
曇り空から涼しい風が吹き込み、じきに雨が降りはじめる。
洗濯物を取り込み、窓を閉める。
ひとしきり降ったあと、薄日が射し、やがて、もとのような曇り空に。
窓を開け、風を入れる。
そんな空模様の合間を縫って、次兄の家に向かった。
海辺に続く道路から外れて、細くてゆるやかな坂道に入った先に兄の家がある。
母の家も、同じように細い道の先にあった。過去の記憶と親和的な細さの小道…。
兄の家の勝手口の門の上には、オレンジ色の花が鮮やかに群れていた。
ノウゼンカズラが咲く季節なのだ。
お坊様を待つしばしの時間、兄ととりとめのない話をする。
私たちのまわりから去ってしまった過去の家族の時間、過去の家族の場面を呼び戻す。
お盆は、私には、そういう”しばしの時間”だ。