14日、ようやく上野に出かけた。
上野駅から公園にかけて、『今日は休日…?』と思うほどの人出だった。
文化会館や動物園や美術館や博物館に吸い込まれてゆく人々。
11月の空の下、みんなの何かわくわくした気持ちが行き交っているようだった。
私もそうだ。ようやくの「運慶展」だもの。
のびのびと大きく空に向かう木々たちは黄葉・紅葉がはじまっている。
あらためて、東京の秋…と思う。
お昼時の「運慶展」。入場制限は40分待ちだった。
2008年の「薬師寺展」の長く暑い苦行の待ち時間には及ばない。
人垣の外側を右手に回る。
如来像の顔を斜めから横へとゆっくり見入ったとたん、涙が不意にあふれた。
急な涙が分からないまま、ただ、『運慶とはこんな仏様を顕した人だったのか…』と思った。
会場の中は老若男女が渦巻いていた。
興福寺南円堂安置の四天王たちが居並ぶ会場では、巡る人々からさまざまな感想が洩れていた。
「持国天が一番頼りになりそうだった。闘う男、って感じ…」
私のすぐそばで、背の高い女性が傍らの男性にそう語っていた。
そう言えば、持国天の左掌は実際、頼りになりそうなごつさだった。
こうした群像が、「かっこいい!」と評される意味が初めて分かったような気がしたのだった。
最後にもう一度”運慶の処女作”へと戻ってみた。少女の横顔にも見えてくるのだった。
運慶という仏師は本当に一人の人なのだろうか…不思議な気持ちになる。
外に出ると、傘をさすほどの雨になっていた。3時というのに、行列はまだ長く続いていた。
噴水池に建つ楼閣…金色のパイプオルガンのような?
ユリノキの黄葉(紅葉?)