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私の第三十四夜をつづります。

三浦半島の仏像拝観

 23日、雨模様の空を心配しながら、三浦半島の仏像(12~13世紀)を訪ねる”スタデイツアー”に参加し、横須賀市の浄楽寺(芦名)・清雲寺(大矢部)・満願寺(岩戸)を巡った。
 かつて相模国府の歴史について発掘調査成果を中心に学んでいた頃、三浦半島については、古代の御浦郡家や付属寺院などに関心を持っていた。しかし12世紀以降の歴史となると、私のなかではまったく白紙のままだった。その後、身近な地域に残る仏像群のあり方に興味を持つようになってから、12~13世紀の歴史にも少しずつ眼が向きはじめた。
 今回訪ねた清雲寺には、源義家とゆかりのある三浦平太郎為継のものと伝わる五輪塔も祀られていて、これまでは縁遠かった12世紀の三浦氏の存在が初めて身近なものになった。
 また、浄楽寺では、伊豆・願成就院の諸像と共通点をもつ諸像が堂々と居並ぶ姿を初めて拝した。
 伊豆半島三浦半島とが、鎌倉という地点、あるいは相模湾を介して連接している…そうしたイメージのなかで、運慶作とされる造形に間近に接し、一種不思議な感慨を持った。伊豆半島~鎌倉~三浦半島に足跡を残した運慶という存在の現実性、そして運慶に仏像制作を託した当地の人々の営為の現実性を感じたのだと思う。
 そして浄楽寺や満願寺の巨大な仏像群を間近に見上げ、その共通する造形感覚に、仏師の若々しいエネルギーの漲り、自負の発露を強く感じた。
 機会があれば、もう一度、あの玉羊羹(”ぷっちん羊羹”とも?)のようにはちきれそうなお顔、曼荼羅の仏様のように真ん丸のお顔を拝し、12世紀という時間のリアルさを確かめてみたいと思う。

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浄楽寺

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阿弥陀三尊像の説明板(浄楽寺)

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不動明王像・毘沙門天像の説明板(浄楽寺)

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三浦氏(為通・為継・義継)のものとされる五輪塔(清雲寺)

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菩薩像・地蔵菩薩像の説明板(満願寺

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               (満願寺の説明板から)

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               (満願寺の説明板から)

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 満願寺近くの清流