13日朝、宿に荷物を預け、友人たちと近くのお寺を巡った。
前日、荷物を担いだまま歩き回ったせいか、足の筋肉には疼きがあった(空身で歩けるありがたさ…)。
時間の痕跡…寺々の開山の伝承などとは別に、常楽寺石造多宝塔には「奉納 施主 阿闍梨 頼真 弘長二年 壬戌 四月五日」の銘があること(*弘長二年は1262年)や、安楽寺八角三重塔の用材の伐採年代が正応二年(1289年)と判定されていることなど、特定された時間の痕跡も残されていた。また、寺のところどころに見られるミツウロコ紋は、北條氏による事跡の痕跡を伝える”しるし”のようだった。
この小さな温泉地には、時間を刻印するような痕跡だけでなく、宗教や祀りといった文化が地方の人々の暮らしのなかに劇的に?流入した痕跡が、まだ掘り起こされないままに埋まっているのかもしれない…そんなふうに想像した。今回もまた、不勉強なまま出かけたことを後悔した…しかし、もう遅い。
北向観音堂
懸造りの温泉薬師瑠璃殿(北向観音):どのようにお参りすれば良いのだろうか?
北向観音の案内板:天長2年の”激しい鳴動”を発端とする伝承が興味深い。観音堂のなかには、1847年の善光寺地震(長野市直下、推定M7.4)で被災した人々を描いた板絵が架かっていた。平安時代、そして江戸時代などに頻発した巨大な地震の記憶が、さまざまな形で各地で強く刻まれていることを思う。
八角三重塔の裳階の下:さざ波のような、雁が飛び続けるようなリズムの欄間が美しい。”弓欄間”という名前を知る。
常楽寺本堂
常楽寺の案内板
苔むす石造多宝塔(常楽寺)
石造多宝塔の案内板(常楽寺)
常楽寺からの眺め
別所温泉駅:2018年の秋の旅が終わってゆく…。