夕刻、外に出てから、今夜は十三夜だろうか?と思った。
部屋に戻り、小さなカメラをバッグに入れて図書館に向かう。
そもそも読書力が乏しいうえに翻訳本は苦手だ。それなのに、見知らぬ分野だからこそ、なぜか読みたくなった本があった。そして、その出版社の名前が素敵だった…”海と月社”。
「熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな」
”海と月“から私がイメージしたのは、額田王の歌だった。
(手にした翻訳本の表紙そのものは、昔読んだ『妻を帽子とまちがえた男』を思い起こさせたのだったけれど…。)
できればこの本を読みきりたい、読むことで見えなかった世界が見えてくるかもしれない…そんなことを思いながら図書館を出る。
途中で『そうだった、月だった』と思い出した。
東の空を探すと、雲間に十三夜のようなふくらみの月があった。
額田王が見た月は、この月とは違って満月だったろうか。
『今は漕ぎ出でな』…この歌言葉は勇気に満ちてりりしい。
今ほしいものは、ほしいものの一つは、勇気かもしれない。
満月と言わず、十三夜月ほどの勇気がほしいと思う。
1月19日のボケ
1月19日の月
”うつむく顔無し”のような街灯と”真珠の雫”のような月