図書館から借りてきた翻訳書を読み始めた。
最近、読書の出だしで挫折するばかりなので、おずおずと読み進める。それでも、じきに書き手の力が伝わってきた。癖の無い、なめらかな翻訳文のおかげかもしれない。これなら読み通せそう…久しぶりにそんな気持ちになれたのが嬉しかった。(とぼとぼと、あまりにゆっくり読んでいるために誤植まで目に入ったりする。意地悪な気持ちではなく、こんなことも嬉しかったりする。本を作る人々を身近に感じるからだろうか。)
思えば、社会人になってから徐々に本を読まなくなっていった。毎日毎日、通勤電車のなかでは睡眠を貪った。仕事を持ち込む必要の無い休日は、うかうかと遊びに出かけた。
本屋さんに行っても、自分が何を読みたいのか、本当に分からなくなった。
私は読書の喜び、読書の習慣を失ったまま、今に至っている。だから、本の無い生活など考えられない…そんなふうに見える人がいると、本が無くても平気な自分が情けなく思えたりした。
70代という異次元の年代を目前にした今、少しでも本に近づかなければきっと後悔することになると思う。
だから、今読み始めた本が魅力的に思えることがとても嬉しい。