enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

『新聞記者』についてのコメント、ありがとうございます。

 映画はいつも一人で観るので、その感想もいつも一人で反芻するだけなのですが、今回いただいたコメントを読んで初めて、ラストで映し出された杉原さんの唇の動き…言葉…を知ることができました。
(自分には、他者の心を読み取る力が足りない…そのことを自覚していましたが、こんなところにも影響するものなのですね。)
 
 思えば、杉原さんはそれまでも、何回もその言葉を発していました。
 杉原さんの重い葛藤が、結局は、あの短い言葉に行き着くということ、あの言葉は、『新聞記者』の最後の重要なメッセージだということを、遅ればせながら納得できました。
 
 この時期に、この映画が制作され、封切られたこと…映画を観終わったあとに起こったあの拍手には、そのことの感動も含められていたのかもしれません。

 『新聞記者』は、今後、TVで放映されることはないように想像するのですが、一日でも長く上映され続けること、制作されたことの意味が、長く確認され続けることを願っています。
(21世紀初頭の日本において、長期安定を誇る政権が、その権力を稀有な形でほしいままにし、倫理的に逸脱し続けたこと。そのことが人々・社会に残した浅からぬ傷痕を、視覚的に、時を移さずに記録した映画として。)