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私の第三十四夜をつづります。

見慣れた空間から未知の世界へ

 

涼しくなって本を手に取る時間がほんの少し増えた。
(といっても、新書判のように、とにかく小さな本を選ぶようになっているのだけれど。)

その1冊目は『武士の起源を解きあかすー混血する古代、創発される中世ー』(桃崎有一郎 ちくま新書1369 2018年)。タイトルが長い…そして個性的だ。

挑発的なその副題…”混血する古代、創発される中世”とは、いったいどういう意味だろう?と思った。
読み始めると、じきに、著者の若々しさ、意気込み、スピード感、知的標的に向かって勢いよくアプローチする姿勢を感じ取った。
このように、語り手の生身の思考回路や視界が、文章空間に垣間見えてくる場合、あるいは、著者の語り口にただならぬもの?を感じ取った時、私は読み続けることができる…ことが多い。で、私は”混血する古代”の思考回路と視界にワクワクできたのだった。

2冊目…『神社の起源と古代朝鮮』(岡谷公二 2013年 平凡社新書704)は読みは始めたばかり。著者とともに、近江の旅から次の旅へと向かっているところだ。その語り口は衒い無く、ゆったりとしている。

限られた、また見慣れた空間を行き来するだけの私が、見知らぬ著者の旅に誘われ、未知の世界へ目を見開くことができる。そう思えるのが嬉しい…今や、本を手に取っている自分に対し、嬉しいのだった…やれやれ…。

 

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    見慣れた空間…人魚姫の公園の噴水(11月3日)