15日は、機内に1冊の本を持ち込んだ。久しく読むことがなかった村上春樹…その短篇集(『女のいない男たち』文藝春秋 2014年)を選んであった。
途中、いつものように頭痛薬を飲んだにせよ、ビルマまでの7時間弱、6篇の物語世界に順繰りに分け入ることで、いつになくふわふわとした浮遊感のなかで過ごすことになった。
ヤンゴンの空港に着くと、物語世界の浮遊感がそのまま、長く座り続けた脚のふらつき、頭の揺らめきと重なった。
『女のいない男たち』のなかで、若い頃の私が”村上春樹的世界”と感じていた物語空間に通じてゆけそうな感触(既視感)があったのは、「シェエラザード」と「木野」の2篇だった(正確には、かつて味わった感触を探そうとしただけかもしれない)。
そして、私たち一行がぞろぞろとヤンゴンの33度の外気温を受け入れてゆくなかで、”シェエラザード”も”木野”も、速やかに”村上春樹的世界”へと退いていった。
綿の花(バガン:ミンナントゥ村)
黄色の花(バガン:ミンナントゥ村)
細く白い花(バガン)
黄色の花(バガン)
夕焼け(インレイ湖畔)