「ラベンダー」という花の名には、ずっと憧れの響きがあった
中学生の頃に心奪われた『赤毛のアン』シリーズに登場する女性…”ミス・ラベンダー”を象徴する花の名だった。
いったい、どんなに素敵な花なのだろう? 見知らぬその花のイメージをぼんやりと思い描くだけだった。
大人になって、ラベンダーという花の実際の色、形、その香りを知った。そして、北海道の富良野にその花畑があることも知った。
1984年9月、初めてその地を訪れた時、ラベンダー畑は花の盛りを過ぎてはいたけれど、畑一面に広がる香りは特別なものだった。そして、その花が育つ風土というものも、肌で感じ取ることができたように思う。
昔の記憶…”ミス・ラベンダー”への憧れなど、私の中の『赤毛のアン』なる存在が、何だか一段落したように感じた。
今回、再び、中富良野町のラベンダー畑を巡った。その様変わりように、すでに36年の時間が経ったことを知った。また、中学生の頃からは軽く半世紀を超える時が流れたこと、その不確かな長い長い流れの末に今の自分が存在することも理解した。
ラベンダーの花の間をせわしなく隠れ舞う蝶…その蝶が夢見るような儚い時間を、私もせわしなく旅してきたのに違いなかった。
~ラベンダー畑で出会った風景~
~宿のテーブルに置かれていたテルテル坊主~
「旅の間、天気を守ってくれてありがとう!」