enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

古い古い財布とコロナ。

 

今日、高田賢三さんの訃報を聞いた。新型コロナウィルスに感染し、パリで亡くなったという。

私でさえその名を知る世界的なファッションデザイナーがコロナによって最期を迎えた…また一つ、2020年の現実世界に漂う”喪失感”が可視化されたように感じた。

これまでのところ、私の小さな狭い日常にコロナの影は片鱗もなく、外出時の彼我のマスク姿だけがコロナの現実を支えている。
かろうじて小さな布に象徴されるコロナの現実感の危うさ。コロナはもしかすると、私が見続けている長い夢のなかの不吉で不条理な作りごとかもしれなかった。

それなのに、なぜか、高田賢三さんの訃報は、2020年の現状が夢・幻ではないことを私に念押ししてきた。誰もがコロナの脅威にさらされている、誰もコロナの脅威をまぬかれない、それは現実なのだと。コロナとはあっけない現実なのだと。

 

 

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私の古い古い財布(たぶん20年以上使い続けている)と、
2~3年前に摺り切れて使えなくなったキーホルダーの残り。
” kenzo ” さんという人が確実にどこかに旅立ったことを、
これからもこの財布を手にするたびに思い起こすと思う。