enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2020年の秋:八幡平①

 

 

コロナ禍のなか、二度目の旅。
家族との旅が続く。

私は力持ちで、荷物持ちとしてかなり役に立つ。
なので、旅の道連れとしてできるだけ体調を整えなくては、と思う気持ちが有り余るのか、出発日まで、自信の無い体調への不安が続くことになる。


八幡平へと出かける前夜、炒めたピーマンを口にした途端、突然の吐き気に襲われた。
(卵アレルギーの私が、卵の成分を含んだ食べ物を口にした途端に広がってゆく、あの得も言われぬ不愉快な刺激…ホースの水で、身体の内側の全粘膜を勢いよく洗い流したいような不愉快さ…。これはまさかの悪夢に違いなかった。私の食事に卵成分が入る可能性は無かったから。)

しかし、おさまらない吐き気の先の嘔吐・下痢。その間に心悸亢進と発汗が加わり、足まで萎えて立ち上がれない。もう明日の旅は無理…と、やっとの思いで置き薬を飲み、ぐったりとベッドにもぐり込んだ。『何がいけなかったのだろう…』と悔やみながら。

しかし、身体から”何か悪いもの”がすべて排出されたのだろうか、翌朝、起きた時の気分は、まずまずのものだった。まさに憑物が落ちたように。

それでも、まだ食べ物を口にする勇気は無い。
足先もフワフワと心もとない。
おなかに力を入れ、大荷物を担いで朝の街に出る。そろりそろりと駅へと向かう。
今、旅に出かけようとしている…夢のようだ…。 

そして、旅先には、2020年の絵巻のような秋が待っていたのだった。

 

【八幡平の高原で:10月13日の写真から】

f:id:vgeruda:20201111212135j:plainゲンノショウコ?:種を飛ばすための、フランス王家の紋章を逆さにしたような独特な形が眼を引く。

 

f:id:vgeruda:20201111212209j:plain森の中で出会ったのは”火消しのリス”

 

f:id:vgeruda:20201111212327j:plain黄色の落ち葉:木の葉は、秋にはそれぞれ自分だけの色を得て、終わってゆく。

 

f:id:vgeruda:20201111212421j:plain 
プラチナブロンドの髪:風のいたずらで、この場所に。