黒谷地(くろやち)湿原 (八幡平 11月14日)
コロナ感染拡大の不安を感じつつ、旅に出ることの心疚しさ。
さらに自身の体調不安も残っていた。
それでも、旅の誘惑に逆らいきれなかった。
それほどに、11月の空気の肌触りは格別だ。
長い夏の記憶が遠のき、ようやく充ち足りた季節にたどり着く…肌に記憶されている懐かしい感触が呼び覚まされる。
それは、旅空のもと、突然、湧き上がってくる気持ちにも似ている。
縮こまった心が、思い切り自由な呼吸を得て解き放たれ、はるか空の彼方へと羽ばたく。私が消えてゆく。何と心地よいのだろう…。
旅先の八幡平では、眼の前に黒谷地(くろやち)湿原が広がった時もそうだった。
うまく言葉にできないけれど、心の中には、生まれた時から”帰ってゆきたい場所”というものが用意されていて、私はきっと、その場所に出会うため、現実の世界を生きているに違いない…そんなふうに感じてしまうのだ。
その場所は、探すわけでもなく、突然、風景の形をとって眼の前に出現する。
なぜ、そこに帰ってゆきたいのか、説明ができないけれど、出会えば分かる。
わけもなく懐かしい…何ものにも束縛されない…こんなにも自由…そういう場所なのだ。
【八幡平の高原で:10月14日の写真から】
アオゲラの後ろ姿(14日朝。県民の森で)
(貴方の名前は?) マイヅルソウ
チングルマ エゾオヤマリンドウ
シラタマノキ オオカメノキ
イワカガミ ツルリンドウ
光泡立つ沼
ハンゴンソウ オオシラビソ(アオモリトドマツ)
八幡平の”亡者” 枯れ木と黄葉のドレス
アザミ