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私の第三十四夜をつづります。

2021年の秋:八方と栂池②

 

 

八方尾根と栂池には、2018年晩夏と2021年秋に訪れた。

景観としては、八方尾根は開いていて、栂池は閉じている。
ただ、八方尾根では、心も身体も高みへと前のめりになり、栂池では、心も身体も風とともに回遊し飛び回る。

栂池の湿原に出ると、吸い込んだ空気で身体が軽くなり、やがて心も肉体も溶けて消えてしまったような気持ちになった。

私にとって、”天上界”とは、前日に八方尾根で見渡した雲海のような広々とした高みの世界ではなく、栂池の湿原のような”閉じた世界”らしい。
(前世、湿原の草陰で暮らしていて、そんなふうに、なつかしく感じるのだろうか?)

 

【栂池で】

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こんな可愛いクマなら出逢ってもいいかな?

 

f:id:vgeruda:20211020105708j:plain振り向くと、雪のような銀色の葉樷に驚かされる。クマザサだろうか? 竹の葉は遠くから見ると白く光って見えるらしいけれど…。

 

f:id:vgeruda:20211020105840j:plain枯れ色の湿原

 

f:id:vgeruda:20211020110023j:plainカラマツとサラサドウダン(”やせ尾根”で)

 

f:id:vgeruda:20211020110440j:plain雲間の山肌

 

【「塩の道で】

栂池を訪ねたあと、「塩の道」をたどって”千国宿”へと向かった。

 

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”百体観音”の前の「塩の道」

 

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林のなかに集まる”百体観音”たち

 

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「牛方宿」で:
旅の前に『日本霊異記』を読んでいた。
石畳の坂道を歩きながら、『牛が重荷を背負って黙々と働く定めについて、牛方は日々、どんなふうに感じたのだろうか…』などと思ったりした。