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私の第三十四夜をつづります。

四万川~日向見川沿いで①

 

12月上旬、家族と四万温泉へ出かけた。

子どもの頃から悪化と寛快を繰り返してきた喘息と皮膚湿疹が、コロナ禍のマスク着用や草津温泉の効用なのだろうか、この1~2年でかなり良くなっている(吸入薬に頼る回数が減り、肌のまだら模様もほとんど消えた)。

最近の草津行きで馴染みになった群馬県…今回の四万温泉には『千と千尋』の「油屋」のモデルの一つと言われる宿があるらしい。それを楽しみに出かけた。

午後3時…電車とバスを乗り継いでたどり着いた四万温泉は静かだった。
山の端に沈む前の陽の光が四万川の岩河原に淡く広がっている。
(温泉口の山口から奥の新湯へと、四万川の川筋にいくつかの湯宿がまとまり連なって…四万温泉とは狭く細長い…そんな印象を持った。)

新湯の宿街では首都圏からの若者たちの姿はほとんど見かけない。草津のような湯畑を中心とした観光地らしい雰囲気はどこにも見当たらない。それが、ちょうど私には居心地が良いのだった。

 

f:id:vgeruda:20211216135057j:plain「積善館」の夜景

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「積善館」の窓:
あの「油屋」のような歓楽的な色彩、圧倒的な立体感とは重ならない。
川音と同じように秘めやかな印象は、四万温泉そのものと調和している。

 

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泊まった宿の源泉近くの飲泉場:
源泉から流れ出る湯で、宿泊客が温泉卵を作っている。
ひしゃくで飲む温泉水はほんのり温かく、ほんのり塩味がした。
弱った胃に効きそうなやさしい味わい。

 

f:id:vgeruda:20211216142103j:plain温泉薬師神社
お寺であり神社であるお堂。扁額を覆いつくすような龍の彫り物、蔀戸から見る色鮮やかな格天井に、四万温泉の歴史が感じられた。近くには創建者とされる江戸屋幸助の宝篋印塔など、数々の石塔が並ぶ。

 

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お堂横にたたずむお地蔵様:ゆで卵のようなお顔立ち。