”冥顕の恐れ”という言葉にひきずられながら残暑をしのいだ後、友人から新しい本を借りた。
『舟を編む』・・・友人は『コンニャク屋漂流記』という本を買うつもりで本屋さんに立ち寄り、なぜか、間違ってこの本を買ってきてしまったという。そんなことがありうるのか。ありえそうな気がする。そういう年代なのだ。
その本も終わりに近づくあたりで、”老舗のケーキ屋”でエクレアを買うくだりがあった。
これは”柏水堂”かな、と思う。
昔、仕事帰りにこの店で食べたケーキは・・・セ・・・セ・・・次はア? ”セア・・・?”
ケーキの名が思い出せない。
そのケーキは普通はなんというのだったか?
それを思い出すのにもしばらく時間がかかる。そう”サヴァラン”だ。
で、”セア・・・?” ここで突然、”三銃士”の語が思い浮かぶ。なんの啓示なのか、さらに不明だ。
思い出せないまま、一旦、降参して別のことにとりかかる。
すると、頭の中で”セアルジャン”という声がする。
そう、柏水堂で食べたのは”セアルジャン”と”レモンパイ”だった。
60代となって、すべてこんな調子なのだ。
”舟を編む”どころではない。船に載せるべきものの名・・・それが思い出せなくなっている。
ところで、柏水堂に”エクレア”はあったろうか? 本の中の”老舗の店”は違う店なのかもしれない。
青い飛行機雲