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私の第三十四夜をつづります。

2012-01-01から1年間の記事一覧

2012.12.31

浜辺暮らしの猫の一年とは瞑想の一年なのだろうか。来る日も来る日もひたすら哲学しているように見える。 12月31日の平塚海岸・・・浜辺暮らしの猫は、なぜか、いつものベンチの西隣のベンチにすわっていた。豹柄の敷物は、と言えば、いつものベンチの下に落…

2012.12.29

2012年最後の土曜日。平塚海岸は浜辺よりも波の中の人影のほうが多かった。陽ざしも陰りがちのなか、もしや海水のほうが温かいのだろうか。 浜辺暮らしの猫は、いつものベンチで眠っていた。豹柄(?)の敷物の上で丸まっている。そっと後ろから近づくと、カ…

2012.12.27

23日夜、6人でワインを6本空けたことで悪夢が始まった。これこそが後の祭りだ。 24日は一日中寝込み、25日夜、やっとおかゆを食べることができた。数年前、同じように5日間寝込んだ。なのに61歳にもなって、まったく愚かなことだ。 それでも、息も絶え絶えの…

郡庁と正倉の時期

15日に群馬県太田市の天良七堂遺跡の現地説明会があることを知った。私が最後に訪れたのが2007年。その翌年、「史跡上野国新田郡庁跡」として指定されている。5年ぶりに現地に行ってみようと思いながら、情けないことに雨と寒さにめげてしまった。 現説には…

2012.12.19

昨日、久しぶりに海を見ようと出かけた。海へと向かう一本道の大通りに電柱は無く、松と街燈が立ち並ぶだけだ。光を含んだ鉛色の雲が空いっぱいに広がり、葉を落とした冬樹が形をあらわにしている。写真を撮ろうと一本の樹を見上げてぐるぐる回っていると、…

2012.12.17

図書館で『吾妻鏡』の現代語訳などを眺め、12世紀末~13世紀初頭の時代を夢想している間に、日本の人々は古くて新しい扉を開けようとしていた。 扉の向こうにどのような歴史が作られてゆくのか、今はまったく見通せない。 21世紀を迎えた時から、まだ10年ち…

2012.12.13

つむじ風が砂ぼこりとともに 美しい国、強い国、豊かな国を歌いあげる季節がきた 街角に言葉の蜃気楼がたちあらわれ 野望と妄想の陽炎がワラワラとゆらめく 私はつむじ風が運ぶ楽曲では踊るまい そして歌うまい やがて巡る季節のなかで 私は私が歌いたい歌を…

2012.12.8

今年の2月に初めて聴いた西村悟さんが、「アルルの女」のアリアを歌うことを知り、7日の午後、大井町まで出かけた。 音楽は時と不可分な芸術だと思う。楽譜のなかで静かに身をひそめている音の記号たちが、楽器や声によって再生されるや、私のまわりに生きた…

2012.12.6

12月とはやはり特別な月だ。時間の流れが31日でせき止められているような焦燥感を感じる。家と図書館と海とを行き来しながら、『そんなことでいいのか』という自分の声が聞こえてくる。 「世上乱逆追討耳ニ満ツト雖モ、之ヲ注セズ。紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ。」…

茅ヶ崎市の木簡と緑釉緑彩

2日、茅ヶ崎市遺跡調査発表会を聴き、居村B遺跡出土の木簡など、多くの出土遺物も見学することができた。 (毎回、見易くて、調査現場の特徴が伝わってくる展示をとても楽しみにしている。) 居村B遺跡については、今回発見された四号木簡に「貞観」の年号…

2012.11.28

昨日、交差点で信号を待っている時、空気といい空といい、冬そのものだと感じた。季節を感じる時、自分が生きていると感じる。一年という時間のなかで、いくつもの季節がある。その季節のたびに、空を見上げ、生きていると思う。 昨日、平塚の海は瑠璃色をし…

2012.11.27

卒業後の17年間、朝6時40分台の電車に乗り、残業があれば夜10時頃に帰宅し・・・という生活を続けた。休日出勤で足りなければ、家でも仕事をした。睡眠時間などを引くと、自分だけの時間、心の空間というものはほとんどなかった。 40歳で退職後、日中、自由…

2012.11.26

~Nさんへ~ 冷たい雨が降っています。 お葉書をいただき、迷ったあとにメールを出しました。 その後も、私はこれまでのように毎日を過ごしています。 何もできずに、私は今までどおりに暮らしています。 昔のNさんについて覚えていることを思い出したりし…

相模国庁の復元プラン

今週は月曜から相模国庁の配置プランを作る作業に没頭した。 かながわ考古学財団の報告書、石岡市教委による常陸国衙跡の報告書、奈良文研の『古代の官衙遺跡』などを机一面に広げる。 実際に検出された遺構は限られている。東脇殿跡、西脇殿跡の一部、掘立…

2012.11.20

木々が日々花芽を太らせてゆく早春。日々葉を濃く茂らせてゆく初夏。日々葉の色を変え散り落ちてゆく晩秋。どの季節のなかでも、自分が取り残されて立ちすくんでいるように感じる。満たされる何か、誠実な何かを待っているような安らぎも感じる。そこには虚…

2012.11.18

秋になって澄んだ陽ざしと空気のなかを歩く。私にとって自由とは歩くことそのものだ。 伊豆高原という土地を知ったのは20歳のころだったと思う。伊豆高原と日光とどちらを先に訪れたのだったか。どちらも陽ざしと空気の澄み方が強く印象に残った。その後、さ…

2012.11.14

この一週間、図書館と家でパソコンに向かって過ごす時間が多かった。その間に短い秋が通り過ぎていったようだ。図書館の近くのケヤキは黄色からオレンジ色へと紅葉が進み、すでに風に葉を散らしはじめている。カツラの落葉も甘い香りを漂わせている。こんな…

2012.11.5

~shelter~ 昔 その部屋で 土器のかけらは日々洗われ 羽根のひとひらは日々並べられ 土まみれの箱からガラガラ出てきたのはワタシだったり 凍った箱からそっと持ち出されたのはカノジョだったり 日々私はワタシのかけらを拾いあげては私の形を復元…

2012.11.4

土曜日に湘南国際マラソンが開催された。 そのことを思い出したのは、午後になって海に出かけ、車や人通りが多いのを不思議に思った時。もう遅い。 参加を続けている知人はタイムを上げることができただろうか。 浜辺でも多くの人が秋の温かな陽ざしを楽しん…

2012.11.2

昨日は確かな目的も無く鎌倉に出かけた。 小町通りを歩きながら、八幡宮と国宝館、そして大蔵幕府跡から大蔵稲荷へ、という道筋をぼんやりと思い描く。 平日の八幡宮は程よい混み方だ。 背後に緑の山を控えた八幡宮本殿の高さに今更ながら驚く。標高20mはあ…

2012.10.30

秋になって、数十年来の友人たちとの再会が続く。 29日、新宿に出かけた。新宿・・・昨年12月のセガンティーニ展以来だ。 東京という街は会うたびに新鮮でよそよそしいのに対し、若い頃の友人という存在は、お互いの間に過ぎ去った時間の空白を飛び越えてそ…

2012.10.28

昨日、散歩に出かけると海から帰ってくる人の波があった。土曜の浜辺は若い人たちでにぎわっていたのだろう。砂浜に出ると少年たちがサッカーの練習をしていた。そばで本を読み始める。 歩くのさえ足を重くすくいとられる砂浜だ。しかし少年たちの動きは素早…

2012.10.26

昨日、家族のもとに葉書が届いた。そこには、家族の学生時代の同級生がこの夏に旅立ったことが記され、そして同級生の元気な頃の写真が添えられていた。会ったことがない人なのに、とても自然な笑顔に親しみを感じた。留守をしていた家族に電話で知らせた。…

2012.10.23

22日朝、はるか昔、20代の頃に出会った友人たちに会いに、安曇野まで出かけた。 中央線の車窓から見る景色は秋の色に変わっていた。 (8月末、入笠山の花から花へと飛び交っていたアサギマダラたちは、南へと旅立ったのだろうか。) 電車の座席で読みかけの…

歌人相模の時代から中世へ-静範と聖範

今日(日付が新しくなって”昨日”)、図書館で11世紀後半の年表(『新・国史大年表 第二巻』(国書刊行会)を眺めていて、偶然、「(阿多見)聖範」と同音の「静範」の名を目にした(仮に”セイハン”と読むとして…それとも”ショウハン”及び”ジョウハン”と読むのだ…

2012.10.17

16日朝、中山道を気ままに歩いている友人に同行して軽井沢駅に着いた。 軽井沢を最後に旅したのはいつ頃だったのか、思い出せない。30年以上経っているだろうか。 かつて、文学的な避暑地のイメージを漂わせていた高原の駅は、すっかり都市的で無機的な顔に…

2012.10.13

昨日の午後、雲が広がってきたので、浜辺で本を読もうと出かけた。 思えば、私が小さい頃、兄はよく海に出かけていた。兄の部屋の古びた衣桁に掛けられたズボンからはいつも海の砂がこぼれていた。今、散歩する私の靴の中にも細かな砂が入り込んだままだ。 …

2012.10.10

昨日、再び海岸道路の空に赤トンボが群れ飛んでいた。松林の奥のプールが水田の代わりになっているのだろうか。10月になって日没の時間が早くなり、夕焼けにまにあうよう、早足になる。浜辺ではわずかな夕焼けでもうれしい。 今日は図書館に出かけた。図書館…

京~走湯権現~相模を結ぶもの

今年の春、歌人相模についてあれこれと考えていた。そのなかで伊豆山神社に残る同時代の神像を知った。そして漠然と、その神像が相模国の11世紀代の歴史の動きと係りそうな気がした。12世紀の源頼朝よりさかのぼって、源頼義の時代に相模国と伊豆山神社との…

漆部伊波の富と力とは?

10月5日から始まった藤沢市の古代史講座に出かけた。一般市民の私が、文献から古代の歴史を読み解く世界に惹きつけられるようになったのは、この藤沢市(博物館準備担当)で長年にわたって行われている講座がきっかけだったと思う。発掘調査の現地説明会と同…