enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2012.10.30

 秋になって、数十年来の友人たちとの再会が続く。
 29日、新宿に出かけた。新宿・・・昨年12月のセガンティーニ展以来だ。
 東京という街は会うたびに新鮮でよそよそしいのに対し、若い頃の友人という存在は、お互いの間に過ぎ去った時間の空白を飛び越えてそこに在る。そしてまた、確かにそれぞれの今があるのだ、ということも思う。
 それぞれが、語ることもあり、語らぬこともあり、再会の時間は秋の日のように短い。
 夕方、友人たちと別れて、大きく変貌した新宿駅南口の信号を渡る。東京という都市の生成の速さからとっくに取り残されている自分を感じながら人々の波にまぎれこむ。
 
 平塚駅を降りると、路地の空に満月のように明るい月が待っていた。
 思わず「きれいな月が出ている」と、今日鬱屈を語っていた友人に告げたくなった。友人の携帯はつながらなかったけれど、月の光はきっともうすぐ友人の家の窓に差し込むだろうと思った。
 
イメージ 1
                                                            10月29日の月