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私の第三十四夜をつづります。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

満月に鴨長明を想う。

今夜は満月。 ベランダで月を待つ。 黒々とした建物の端の空がほのかに明るい。 月が近づいている。 おぉ…月がむら雲の波間を泳ぎながら、9月の夜空を渡ってゆくよ…。 雲があってこその月の光…おごそかな光。 『鴨長明集』より 36 くまもなき かゝみとみえて…

本当に久しぶりの海…。

海まで散歩することなく夏が終わった…長くて暑かった…。 今や、衰えた陽ざしも風も、海へと誘っている。次兄の家にブドウを届けるついでに、夕焼けを見てこようと海に向かった。 (平塚ではおよそ、春分は六時頃に夜が明け六時頃に陽が沈む。秋分は五時半頃…

仏様たちに会いに行く(2023.09.16)

16日、東京方面に出かけた帰り道、上野の東博に立ち寄った。その日、「京都・南山城の仏像」展が始まったのだ。 午前中、少量の水分だけで蒸し暑い中を歩き続けたせいか、よろよろになった身体で本館にたどり着く(なつかしいユリノキの木陰がそこにあった ……

「下総国府・葛飾郡衙」に会いに行く③

素晴らしいロケーションの会場は満席だった。小笠原好彦氏による文献学に基づいた講演「古代の下総と葛飾郡衙」が始まった。 私にとっては久しぶりの文献資料のレジメだった。眼を通しながら、下総国が11郡を擁する大国であること(相模国は8郡の上国)など…

「下総国府・葛飾郡衙」に会いに行く②

その日の会場である和洋女子大の高層階の会議室には、素晴らしく大きな窓が広がり、外界を屏風絵のように切り取っていた。その西向きの窓からは、ゆるやかに蛇行する江戸川の流れ、スカイツリーをとり囲むビル群、首都圏を覆う大きな天蓋を一望できた。また…

「下総国府・葛飾郡衙」に会いに行く①

9日朝、予定より早く家を出て、市川へと向かった。午後の講演・シンポジウム「下総国府と葛飾郡衙 最新の調査成果と今後への展望」が始まる前に、国府台駅から県営住宅が建つ第192地点まで、『図説 市川の歴史』(市川市教育委員会 2006年)に記された”卑弥…

考古学者の「百済観音」

『疲れたなぁ…暑いなぁ…』『暑いなぁ…疲れたなぁ…』それでも、光や風がやわらぎはじめた。少しずつ、本も読めるようになってきた。 先日、古本屋さんから届いた『百済観音』(浜田青陵 平凡社)を開くと、古書独特の湿った匂いがした(『百済観音』の文章に…