enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

2019.3.31

午後になって、次兄の家を訪ねる前に、海岸に出た。 花冷えと呼ばれるような日々の次に、帽子や日傘がほしいほどの陽射し。 この陽射しの先に、早くも夏が待っていることが分かった。 明るい海の向こうでは、じきに不穏な台風の目が生まれたりするのだと分か…

修復が進むバンテアイ・チュマール(3)

カンボジアの遺跡のまとめは、バンテアイ・チュマールだけで終わることになる。 とすれば、残る19遺跡…残り過ぎの19遺跡…について、もう、一生ふり返る機会はなさそうだ。 遺跡のなかで感じたことはもっとあったはずなのに、まとめきろうとする気力が湧かない…

修復が進むバンテアイ・チュマール(2)

今回、遺跡を巡る旅の写真をふり返るなかで、不思議に思うことがあった。 どこか懐かしく思い出される写真が、(ヒンドゥー教寺院であるバンテアイ・スレイを除いて)そのほとんどがジャヤヴァルマン7世という王によって建立されたり、改築された仏教寺院で…

修復が進むバンテアイ・チュマール(1)

バンテアイ・チュマールは2009年から修復が始まったという。 2019年現在のバンテアイ・チュマールは、Googleマップのストリードビュー(2014年撮影)と比べても、かなり整備が進んでいることが分かる。 遺跡現場(東側のテラス)で、炎天下、多くの人々が整備・修復作業に…

2019.3.27

桜が咲き始めた。 たぶん20年以上前の今頃の時期、母に桜を見せたくて、駅を越えて街の北へ…図書館のほうへと向かった。 その場所のソメイヨシノが、いつも綺麗に咲くのだったから。 車の運転ができない私が、母を連れてゆける身近なところは、その場所しか…

カンボジア国立博物館の”千手観音像”

バンテアイ・チュマールの”千手観音像”のレリーフに、なぜ強く惹かれたのか? 一つには、日本の千手観音像へと行き着いた信仰の流れを遡れば、どこかで、クメールの”千手観音像”の流れと出会う…そういう近しさを感じるからだろうか。 もう一つは、私の妄想癖……

バンテアイ・チュマールの”千手観音像(レリーフ)”④

今回の旅で訪ねたカンボジアの遺跡(アンコール遺跡群を中心とする遺跡)は20箇所。 その年代の範囲は、「7~8c初め」の遺跡から「13c初め」の遺跡までに及び、数の上では12c代が中心となっている。 【年代の参考:『アンコール・ワットへの道 クメール人…

バンテアイ・チュマールの”千手観音像(レリーフ)”③

カンボジアの短い旅を通して、人々の信仰する心…供え物を捧げたり祈ったりする所作という、眼に見える形だけではないもの…が、日々の暮らしに密接した”濃い在り方”として生きているのではないかと思うようになった。 その信仰対象は、私たちと同じように、”…

バンテアイ・チュマールの”千手観音像(レリーフ)”②

バンテアイ・チュマールの建立年代は「13世紀初め」とされている(『アンコール・ワットへの道 クメール人が築いた世界遺産』石澤良昭・内山澄夫 2009年)。 バンテアイ・チュマールという呼称…ガイドのマノンさんの説明によれば、”チュマール”は”猫”・”門番…

バンテアイ・チュマールの”千手観音像(レリーフ)”①

カンボジアの遺跡のレリーフは美しい。野ざらしのレリーフはさらに美しい。 形あるものが、強い太陽光や雨風や“時”の流れにさらされ、摩滅してゆく。 生まれた場所で、無防備で、幾時代か美しく、そしていつかは消えてゆく。 形あるものとして、剥ぎ取られ、…

2019.3.17

安曇野では昨日、雪が降ったのだという。 気温も3℃なのだという。 安曇野では、春はまだ足踏みしているようだ。 平塚では、お向かいの家の紫モクレンが咲き始めた。 雨上がりの空気にも光にも、あふれるエネルギーを感じるようになった。 季節にとって、時間…

バンテアイ・スレイ②の補記(女性像の眼)

バンテアイ・スレイの女性像16体は、同じ髪型、同じ衣裳、同じポーズ、ほとんど同じ体格であるからこそ、その表情の微妙な差異に関心が向いてしまう。 顔の部分が剥落した3体を除く13体のなかで、明らかに面長と感じられた女性像2体(写真8と写真11)の眼を比…

バンテアイ・スレイ②中央祠堂-南塔の女性像

前回、唐突に”平等院”と比較したバンテアイ・スレイは、ほとんどのクメール寺院と同じように、東向きに建つ。 (そもそも、その”東向き”ということが、日本の浄土教寺院をイメージさせ、平等院の信仰空間を思い起こさせたのかもしれない)。 三重の周壁で囲…

バンテアイ・スレイ①:中央祠堂-北塔の女性像

このところずっと、カンボジアで撮りためた写真とにらめっこを続けてきた。 そして、全ての遺跡をまとめるには時間も能力も足りない…と分かった。 せめて、自分のなかで、眼にも鮮やかな印象として残ったものだけを記録しておこうと思う。 ________…

カンボジアで見た”遺跡群以外の建物”

12年前の2006年12月、初めてカンボジアの旅に出た。 シェムリアップで4泊したその旅は、今回より見学時間にはゆとりのあるものだったと思う。 それでも、アンコール遺跡群の重量感、迷宮構造、精密な造形力に初めて向き合い、また樹木の破壊的なエネルギーを…

トンレサップ湖で暮らす人たち

今回の旅で楽しみにしていたトンレサップ湖。 大昔、大きな湖の上で暮らす人々の姿をTVで見た。自分が暮らす世界とはまったく共通点がなさそうな世界に見えた…そして、その日々の暮らしがとても幸せそうに見えたのだった…と思う。 私にとって、アンコール…

2019.3.6

2011年3月21日、この”enonaiehon”を…ずいぶんと迷ったあとで…始めることにしたのだった。 最初の日記を書き終わり、「決定」を初めてクリックする時の、あの”クリックすればもう後戻りできない…”というドキドキとした思いをなつかしく思い出す。 それ…

カンボジアで見た”信仰の形”②

現在の日本で、散歩道の途中で、カンボジアで見たような祭壇を見かけることはない…と思う。 その代わりに、少し似たようなものを思い浮かべる。 京都の路地裏で見かけるお地蔵さんの小さな祠。 また、民家の庭の隅に建つ小さなお稲荷さんの社。 カンボジアの…

カンボジアで見た”信仰の形”①

数年前まで、仲間たちと”星まつり”の足跡を追いかけ、学んでいたことがあった。 今回のカンボジアの旅では、行く先々で、満艦飾の祭壇や小さな”お稲荷さん”のような祠に出会った。 ”星まつり”の足跡を訪ねた頃のように、それらの”小さな結界”に興味を持ち、…

2019.3.1

朝、目が覚めるとまだ雨が降り続いていた。 その雨も、夕方、外に出ると、冷えた湿り気を残すだけになっていた。 雨上がりの空だ…薄墨色の雲を透かして、太陽の在り処からわずかな温かみが射してくる。 図書館で予約した本を借り、噴水広場に出る。 『何て気…