enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

バンテアイ・スレイ①:中央祠堂-北塔の女性像

 このところずっと、カンボジアで撮りためた写真とにらめっこを続けてきた。
 そして、全ての遺跡をまとめるには時間も能力も足りない…と分かった。
 せめて、自分のなかで、眼にも鮮やかな印象として残ったものだけを記録しておこうと思う。
_________________________________________

 バンテアイ・スレイは、967年頃、ヤジュニャヴァラ-ハという”王師”によって建設されたのだという。
 ”王ではなく”王師”というう存在によって造られた、ヒンドゥー教寺院としてのバンテアイ・スレイ。
 夕方の斜めに射す光のなかで、バンテアイ・スレイは、しっとりときめの細かい薔薇色の肌をしていた。
  
 バンテアイ・スレイの祠堂とその浮き彫り彫刻から伝わってくるのは、ヤジュニャヴァラ-ハという”王師”の美意識の強さではないだろうか。
 唐突な比較ではあるけれど、”ゆるぎない美意識の世界”というその印象は、例えば、1052年、藤原頼通によって建設された平等院の世界にも通じるようにイメージする。
 その時代の信仰を基盤に、とても個人的な?美の世界が作り出されたのだろう…そんなふうに漠然とイメージしている。

 今回、バンテアイ・スレイで感じたこと全てをまとめようと思っても、知識も言葉もまったく足りない。
 今の私にできること…まず、写真を機械的に整理すること。それも、一つのテーマがせいぜいだ。
 忘れられない造形…祠堂の壁に立体彫刻のように、深く鮮やかに彫り出された女性像たち。
(こうした女性像には、解説書では”デヴァター”という呼称が使われている。ただ、一律に”デヴァター”と命名してまとめることはしないでおこうと思う…何となく。)
 まとまらない、まとめられないまとめ…。

~北塔の女性像(全8体)~
女性像は、東・西・南・北の四面各面に2体ずつ配置されている。
【写真1~8 :東面1・2→北面3・4→西面5・6→南面7・8 の反時計回りの順で】

          写真1
イメージ 1

          写真2
イメージ 2

          写真3
イメージ 3

          写真4
イメージ 4

          写真5
イメージ 5
           
          写真6                                                              
          イメージ 6

          写真7          
イメージ 7

          写真8:
          北塔南面に立つこの女性の眼に良く似た像が、中央塔を隔てた対面(南塔北面)
          に立つ。涙袋が切れ長?な眼、やや細長い顔立ちが特徴的だ。
イメージ 8