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私の第三十四夜をつづります。

2013-01-01から1年間の記事一覧

2013.12.31 歌人相模と年を越す

一千年前の歌人相模にしても、一年が終わろうとする日、やはり過去の時間をふりかえった。文化果つるところの相模国にあって、しかも女性として微妙な年代にさしかかっている自身の人生について、その想いは屈折したものであったに違いない。 280 思ふ事 月…

2013.12.30

いよいよ2013年ともお別れだ。そして、いつもの年の瀬と心持ちが違うのだ。何かわからないけれど、何かが減ったような。何だろう、それは。 朝の時間が始まる。 寒い台所。”浜辺暮らしだった猫”はご主人のもとに戻れたのだろうかと思いながら、ガスレンジに…

2013.12.27

2013年から2014年へと 市井の人々が それぞれの未来の時間を迎えようとしている今 かの権力者は 自大な陶酔のさなか あるいは誇大な酔夢のなかにあるのだろう 私たちは かの権力者 かの饒舌なナルシストと同じ夢など 見てはいないのだ 私たちは 私たちの夢を…

2013.12.24

いつものような一週間が過ぎれば、2013年が終わってしまう。いやでも今年の自分を振り返ることになる。ここはやはり、「やれやれ」の一言ですませてしまうに限る。 昨日の午後、久しぶりに海岸に向かった。海への歩道橋の階段を降りる時、前を歩いていたコー…

16世紀後半の庭園遺構

昨日の午後、小田原に向かった。御用米曲輪の発掘調査で切石敷遺構が出たという。今年最後の現地説明会だ。 現場に着くと、2月の説明会の様相とは一変していた。眼の前に広がる遺構はまさしく庭園だった。 東側の遺構から西へと見学する。 強過ぎるほどの曲…

2013.12.11~13 (3)

遠出三日目。大島の背後から昇ってくる赤々とした日の出を久しぶりに見る。 12日は十数キロは歩いたと思う。後ろ向きの気持ちを切り替える良い機会になった。今日からはまたいつもの生活に戻るのだ。 富戸駅までの下り坂を名残惜しい思いで歩く。急坂が脛の…

2013.12.11~13 (2)

遠出二日目の12日朝、作ってもらった地図をたよりに一碧湖に向かう。夜からの強い風は止んでいなかった。地図を握る手指が思うように動かないほどの冷たい風。元気であれば苦にならないはずの坂なのに、しだいに吐く息だけが追い込まれてくる。呼吸のリズム…

2013.12.11~13 (1)

11日の朝、窓の外でキーッと鋭い声がした。カメラを持ってそっと窓を開け、レンズをそろりそろりと向ける。残った最後の柿の実をついばむヒヨドリだ。私が撮影できる野鳥は数少ない・・・。ささやかな喜び。 午後になって、この秋初めての遠出をする。このく…

かながわ考古学財団の発掘調査成果発表会

8日朝、かながわ考古学財団の発掘調査成果発表会に出かけた。埋蔵文化財に興味をもつ一般市民にとって、財団の催しは貴重な機会だ。今回も、発表会だけでなく、選ばれた出土品を間近に見学することができた。 そのなかで、私が通う新横浜の病院に近い遺跡か…

2013.12.7

2013年12月7日 「”日本ヲ、取リ戻ス”トノ復古ノ乱逆ト云フコトハヲコリテ後、富国強兵ノ世トナリニケル也」 中央図書館にもしばらく足が向いていない…次に読む本を探してこようと外に出た。 途中で、時々見かけるご高齢の人が、いつものように愛犬を連れてお…

2013.12.4

東京は何か月ぶりだろう。友人と国会議事堂前で待ち合わせした。駅の構内は私と同世代ほどの人々であふれている。出口から We shall overcome の歌声が響いてくる。 外に出ると巨大な神殿のようにそびえる国会議事堂が、蟻のような私たちを見下ろ…

2013.12.3

12月の誕生日まで、さらに大晦日までのカウントダウンが始まると、わけもなく心が落ち着かなくなる。40代ぐらいから、そわそわが始まった。人生の大晦日が視界にはいる年代になって、そのそわそわした気持ちがいや増すようになった。 きっと何かをし忘れたし…

茅ケ崎市の遺跡調査発表会

11月30日、そして12月1日の昨日、考古学関連の催しに出かけてみた(吸入薬を持って恐る恐る…ではあるけれど)。 連日出かけてみて、一か月以上も家に籠っていたことで、自分の頭がいよいよ錆びついたことを知った(千代古代寺院跡出土木簡を中心とする小田…

2013.11.29

2013年の秋を取り戻したいと思った。 朝食後、冷ややかな風と柔らかな陽ざしのなかを、総合公園に向かった。 私にとっては久しぶりの”遠出”だ。途中で街の傘屋さんに寄る。夏に日傘として使い続けた傘を直してもらうためだ。 その傘屋さんは、子供の頃は小さ…

2013.11.24

11月24日…日付けも季節も私から遠いところで進んでしまった。 43年前の明日、三島由紀夫は死んだ。戦争の時代を経験しない私にとって、生涯消えることのない凶々しい光景も、すべて映像によってもたらされたものだ。車上のケネディ大統領が撃ち抜かれる光景…

2013.11.19

たしかに灯っていた なにかの光をめざしていた でも それは夢のゆらぎだったのかもしれない 今 私は季節だけを追いかけ ふりかえらずに目をつむるのだった 灯から遠いところにもどっているのだろうか その先にまた灯が光りはじめるのだろうか 生と死の季節の…

2013.11.17

秋の三週間を棒に振った。それでも7割がた快復したことにして、昨日の午後、海に向かってみた。晴れやかな秋の空気に、よどんだ心と頭が洗われていく。 浜に着くとハマヒサカキのすえた匂いがした。7割快復の証しだろうか。 久しぶりの海は青く静かだ。波…

2013.11.09

昨日の海辺の夕景。 ミサゴが波消しブロックの上で休んでいた。ミサゴの視線の遠い先を、船がゆっくり東に向かってゆく。 貝拾いだろうか、制服姿の少女たちがラスター彩に輝く波打ち際をうつむきながら歩いている。 水鳥の群れが東の空へと飛んでゆく。ヘリ…

2013.11.8

昨日は風邪薬と吸入薬を処方してもらった。子どもの頃から通っていた海の近くの病院はすでに無く、同じ場所に建ったその大きな病院は、海への散歩のたびに通り過ぎるだけだった。新しい病院へと歩きながら、砂丘の上のサナトリウムといった雰囲気の昔の病院…

2013.11.6

昨日の散歩では体調が一進したような気がした。夜になって、錯覚だったと落胆する。今朝はもっとひどい。自分にうんざりしながら、思い切って出かける。仲間に会えば元気になれるかもしれない。 お昼に仲間の手作りの干し柿をいただく。しっとりとした飴色の…

2013.11.4

待っていた季節のはずだった。しかし、秋になると、子どもの頃に見ていたTV西部劇『ボナンザ』の画面の地図のように、メラメラと身体じゅうの皮膚や粘膜が炎症を広げていった。爽やかな秋を、ボロボロの燃えカスのような気分で過ごすことになるとは。 夜は…

相模集-由無言15 範永集のなかの相模(2)

ここしばらく、相模について自分の思いを繋げていくことができなかった。寝ても覚めても自分一人の内面世界と会話を続けていくことなどできない。たとえ山里深く棲む世捨て人であっても、日々何かしら食べていかねばならない。60歳を過ぎながら、しがらみと…

11世紀中頃の土器(大型鍛冶工房)

27日に桜木町で開かれた公開セミナー(かながわ考古学財団)で、湘南新道関連遺跡の遺物が展示されていた。相模国府域の遺物を見るのは夏以来だ。それも、国庁西脇殿と重なる位置に展開した大型鍛冶工房の資料だった。その鍛冶工房の廃絶時期(11世紀中頃)の…

2013.10.21

昨日も一昨日も、薄着で外出したことを後悔した。進む季節に身体も気持ちも追いつかないのだ。いつまでも夏の余韻が残っている。 そして今日は日陰を選びながら海に向かった。余韻としての習慣だ。 砂浜に出ると海は淡い翡翠色に光っていた。 沖の光る海水面…

2013.10.17

台風26号が大きな爪痕を残して去った。 16日午後、歯医者で治療を終えて外に出ると4時になっていた。そのまま、海に向かった。 国道附近の空には、トンボが勢いよく飛び交っていた。歩道橋を渡ると、海の轟きに囲まれる。 見慣れた海は一変していた。龍のよ…

相模集-由無言14 柱や壁に歌を書きつける ということ

「はるかなるほどにありしをり、目にわづらふ事ありて、日向といふ寺にこもりて、薬師経などよませしついでに。いでし日 柱に書きつけし 525 さしてこ し日向の山にたのむには 目もあきらかに 見えざらめやは 」(『相模集全釈』から) 『相模集全釈』の語釈…

2013.10.14

夕方の西の空に華奢な月が浮かぶ頃から何日かが過ぎた。 昨日は、駅前の大通りの中空に白々と明るい月がかかっていた。じきに十三夜…。 「 月見ては 心や行くと思ひしを 心ぞとまる あやな憂きよに 」 藤原範永 休日の街路に浮かぶ月 海岸に出ると、久しぶり…

宝城坊本堂下の調査

昨日、横浜市歴史博物館で開かれた「神奈川県遺跡調査・研究発表会」(神奈川県考古学会主催)に出かけた。そのなかに、歌人相模とも所縁のある日向薬師についての発表があった。 現在、伊勢原市の日向薬師では、宝城坊本堂の”平成の大修理”が進行中だ。日向…

2013.10.11

一日、ああでもない…こうでもない…と堂々巡りをして、気がつくと夕方になっていたりする。そんな時、いったい、私は何をしているのだと、本当にやましい気持ちになる。 蒸し暑かった昨日、同じように蒸し暑くなっていた頭の中に風を入れようと、外に出た。 …

相模集-由無言13 範永集のなかの相模(1)

今夏、図書館の奥の棚から初めて手に取った重厚な書物・・・今、この『新編国歌大観』を学生時代から読んでいたならと残念に思う。そのなかには、過去の人々の命、思い、詞がずっしりとおさまっていた。そして、『相模集』を囲むように、相模を廻る人々の歌…