enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2013.10.11

 一日、ああでもない…こうでもない…と堂々巡りをして、気がつくと夕方になっていたりする。そんな時、いったい、私は何をしているのだと、本当にやましい気持ちになる。
 蒸し暑かった昨日、同じように蒸し暑くなっていた頭の中に風を入れようと、外に出た。
 雲は空一面に広がり、夕焼けは望めそうになかったけれど。
 浜辺に着くと、ベンチの上に見慣れたシルエットがあった。
 いや、違う。小さな黒い猫が、”浜辺暮らしの猫”と同じようなシルエットで座っていたのだった。
 そっと近づいてみる。
 前に、「ミャオミャオミャオミャオ」と歌うような鳴き声を聞いたことがある。その時より、ふっくらとしているように見える。
 身じろぎせずにこちらを見ている。眼がまんまるだ。
 もっと近づくとそっぽを向いた。その歌うような鳴き声を真似してみた。
 「ミャオ!」と短く返事をする。もう一度鳴き真似をする。
 再び「ミャオ!」と小さく返事をする。
 ”浜辺暮らしの猫”はいつも「我関せず」と素知らぬ風だったけれど、この”ミャオ”は見知らぬ人に少し動揺しているように見える。若いのだ。
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