enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014.1.5

 4日の午後、海に出かけることにした。
 新年早々、苛立ちで飽和状態になっていた。これはまずい。
 ちょっとしたパソコン作業(普通の人にとっては…)が思い通りにならず、堂々巡りを繰り返していた。疲れた。こうなったら、今度誰か親切な人に教えてもらうしかない、とあきらめた。
 
 海に着くまでには、透明な気持ちになっていた。
 浜辺の空には小さなカイトがパタパタと浮かんでいる。
 青い海、大島の淡い島影をぼんやり眺めながら、”浜辺暮らしの猫”の”かくも長き不在”を感じていた。
 次の瞬間、”浜辺暮らしの猫”が見つかった?…そんな嬉しい胸騒ぎがした。予感は当たっていた。ベンチにご主人の姿があらわれ、その手にはいつものバッグがあった。ボードウォークを歩く人も歩みを止めて、ベンチを見つめている。きっと、心の中で『見つかった?』と問いかけているのだろう。この海に通う人はみな、”浜辺暮らしの猫”の姿を目の端にとらえてきたのだ。ベンチに座る人はみな、”浜辺暮らしの猫”と一緒に水平線を遠く眺めてきたのだ。
 ベンチでは、行方不明の猫を心配していた人々が集まっている。時々笑い声が起きる。みな嬉しそうだ。良かった。
 人々の祝祭気分のなかで、みんなを心配させた”当猫”は、いつものように素知らぬ顔だ。しかし、その体には新しいハーネスリードがしっかり装着されていた。
 
『どこに行っていたのかな?』
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                                 (昨年末、ご主人が発行された写真から)