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私の第三十四夜をつづります。

2014-01-01から1年間の記事一覧

2014.12.30

陽ざしが残るうちにと、外に出た。 2014年もあと一日…たぶん今年最後の海だ。 年賀状書きも大掃除も年の暮れの買い物も終わったのか、それはさておいてなのか…浜辺には淋しくないくらいの人の数があった。30日だというのに…何となく嬉しい。 風は砂丘に風紋…

足柄峠越えと箱根峠越え

伊豆の葛城山から、富士・丹沢・箱根・伊豆の山々を見渡しながら、これまで『神奈川の古代道』(藤沢市教育委員会 博物館建設準備担当 1997)などをもとに学んできた古代東海道ルートについて、改めて思うことがあった。 ①なぜ古代東海道ルートは箱根峠を越え…

2014.12.21

19日、10時過ぎに城山を登りはじめた。城山(342m)と葛城山(452m)頂上から、伊豆・箱根・丹沢から富士~南アルプス、駿河湾までも眺め渡すことができた。 低山のハイキングとはいえ、葛城山頂上に辿りついたのは13時20分。コースタイムから30分ほど遅れて…

伊豆の城山~葛城山を歩く

歌人相模を知ってから、平安時代の伊豆箱根地域について興味を持ち始めた。 平塚の海岸近くに育った私にとって、伊豆は相模湾岸沿いの一つながりの地域であり、その山並みも親しい眺めだった。また、箱根駅伝は子どもの頃からのお正月の”行事”の一つでもあっ…

仏教考古学、そして下寺尾官衙遺跡群

13日は横浜で、かながわの遺跡展・巡回展「発掘された御仏と仏具」を見学したあと、「仏教考古学における仏像と仏法具」(坂詰秀一氏による特別講演)を聴くことができた。14日は「茅ヶ崎市遺跡調査発表会」で「下寺尾官衙遺跡群の保存と活用」(大村浩司氏…

2014.12.15

昨夕、安曇野の友人から「今朝は雪かきで汗をかいた…」とメールが届いた。 そして、初めての干し柿つくりの報告も書かれていた。 今秋、指に血豆を作りながら大量の柿の皮むきをしたその成果…干している柿を時々柔らかくなるようにもんだこと、約一か月干し…

2014.12.12

昨年は、秋口から皮膚や気管支の炎症が長引いて、短い秋を楽しむことができなかった。 今年の秋になった。 久しぶりに京都に出かけてみたいと思いながら、果たすことなく年末を迎えてしまった。海と図書館へ通い、時々電車で外出する…そんなことを繰り返して…

2014.12.9

「このチャンスを手放すわけにはいかない!」 彼にとっては、確かにチャンスだ。やりたかったことはまだある。そのためのチャンスを手放すわけにはいかないだろう。 彼のブレーンは言葉によるロンダリングが巧みだ。論理の倒錯的操作も常套的だ。 黒は白にな…

2014.12.8

7日朝、外に出て冷え込んだ空気を吸いこんでみた。昨日まで息苦しかった気管支が、透明になっている。 日曜の東京行きの電車は混んでいた。艶やかな髪の少女たちの会話を耳にしながら、本を拾い読みする。『奈良の寺』。コラム集のような構成は、どこから読…

酒匂出土の軒丸瓦⑤【追記】

◆「酒匂北中宿遺跡」第Ⅵ地点で10世紀前後の軒丸瓦が出土したことを、どう考えれば良いのだろうか…答えなどあるはずもないのに…ただ、その場所に瓦が持ち込まれただけかもしれないのに…。 それでも、今の私が抱く酒匂地域のイメージは次のようなものになった…

酒匂出土の軒丸瓦④

<③の続き> ◆第Ⅵ地点の出土遺物の軒丸瓦を見たことをきっかけに、酒匂地域が、古代から中世・近世へと継続する歴史的地域であることを知った。 また、第Ⅵ地点・第Ⅰ地点の溝の在り方を比べながら、平塚の相模国府域における膨大な数の溝状遺構について思い出…

酒匂出土の軒丸瓦③

<酒匂出土の軒丸瓦② の続き> ◆「酒匂北中宿遺跡 第Ⅵ地点」の発表要旨で触れられていた“浜邊御所”については、二所詣や歌人相模の走湯参詣ルートを調べていた際に目にしていた名称だった。 今回、平安時代の「酒匂北中宿遺跡」の位置づけを探る手がかりとし…

酒匂出土の軒丸瓦②

◆平安時代の軒丸瓦片を出土した「酒匂北中宿遺跡 第Ⅵ地点」の発表要旨を読み、奈良・平安、中世の調査成果で気になった点をまとめてみた。 (〔註〕以下の「 」は、小田原市教育委員会『平成26年 小田原市遺跡調査発表会 発表要旨』から引用) 【第Ⅵ地点】 …

2014.12.3

今朝は晴れた。ベランダに出て、たくさんの洗濯物を干していた。ベランダの前には2階の高さにまで伸びた柿の木がある。11月、柿の木の葉は日に日にオレンジ色を濃くしていった。12月になった今、ほとんどが散ってしまった。柿の実がわずかに残っているのがよ…

酒匂出土の軒丸瓦①

11月最後の日、小田原市遺跡調査発表会に出かけた。小田原市域の古代の遺跡について、何か新しい発見があるかもしれないと期待しながら鴨宮駅で降りる。今秋、”巡礼みち”を歩いて以来だ。 発表会の前に、まず出土品の展示を見学した。どの発表会でも、出土資…

“筥根山”と“西富”

今回、湯坂路を歩き、箱根権現に改めて興味をもった。 そして、箱根権現や走湯権現の縁起に、大磯町の高麗権現(高来神社)が係っていることを知った。 歌人相模の走湯権現参詣ルートを探すなかで、これらの三つの聖地をつなぐ道(線)が、自然と浮かびあが…

2014.11.28

肌寒い季節に夕方の海で時間を過ごす人は、ほとんどが散歩したり…犬を連れていたり、日没の景色を見ていたり…、浜辺に並んですわったり…黙っていたり、おしゃべりしたり…している。 昨日の夕方の海辺で過ごしていたのも、そんな人たちだった。夕日を背にして…

2014.11.27

毎年、11月25日を迎えると一瞬ではあるけれど、『…生きていれば何歳になるだろう…』と三島由紀夫を思い出す。たぶん、その年齢となった三島由紀夫は考えられない…ということを確認するために。 人生にはそんな終わり方もあるものなのだ、といつも思う。あの…

宝城坊本堂見学会

22日朝、伊勢原市の日向薬師・宝城坊本堂を見学した。2011年から始まった解体修理工事も完成まであと2年となり、全工程の3分の1を残す段階に入っていた。私にとって、2011年・2012年の見学を経て、久しぶりの見学会だった。 現場の素屋根の下に入ってまず驚…

平安時代の箱根路(筥荷途)とは?

この秋、「湯坂路」を歩いたことで、平安時代の“箱根路”(筥荷途)の在り方に関心を持った。そこで、『新編国歌大観』を開き、平安時代の“箱根路”(筥荷途)を詠んだ歌があるだろうかと探してみた。 限られた時間の中では“箱根路”(筥荷途)そのものを詠んだ…

「湯坂路」(3)

精進池でバスを降り、「湯坂路 (鎌倉古道)」入口を9時過ぎにスタートして、前半は木の葉の色づき、道端の花や蝶、梢の鳥の声に気を取られながら歩いた。後半の長い下り坂は、新しい石畳に足をもたつかせながら歩いた。 ようやく湯本側の「湯坂山登山道入口」…

「湯坂路」(2)

今回、紅葉の季節の晴れた日を選んで「湯坂路」に向かった。尾根歩きを楽しみつつ、一つ疑問に感じたことがあった。それは“石畳”についてだった。 鷹巣山を越えてから、その石畳の道が始まったと思う。石畳の縁の肩線が残り、しっかりと組まれて苔むしたよ…

「湯坂路」(1)

14日、箱根の「湯坂路」を歩いた。小田原駅でバスに乗り、六道地蔵(精進池)でバスを降り、湯坂路入口まで戻り、そこから鷹巣山~浅間山を経て、湯本へと下りる行程だ。 この行程は、『神奈川の古代道』(藤沢市教育委員会 博物館建設準備担当 1997年)で、…

2014.11.15

14日、早起きして箱根に向かった。ずっと、秋の湯坂路を歩いてみたいと思っていた。その念願の朝はずいぶんと冷え込んでいた。それでも、11月の日光ほどではないはず…と薄着で出かけてしまった。 精進池でバスを降りると、すぐ陽なたを探し、身体を温める。…

「夕されば 尾花おしなみ 吹く風に 玉ぬき乱る 野辺の白露」(3)

~「三宮相模君」の歌に何を読みとるか~ 左勝 三宮相模君 ゆふされば をばなおしなみ ふくかぜに たまぬきみだる のべのしらつゆ 右 皇后宮少進兼昌 いなづまの ひかりにまがふ ゆふつゆを ひとるたまとも 思ひけるかな 三宮相模君は、「雲居寺結縁経後宴歌…

「夕されば 尾花おしなみ 吹く風に 玉ぬき乱る 野辺の白露」(2)

~「雲居寺結縁経後宴歌合」の概略と三宮相模君の歌~ 永久4年(1116)年8月、主催:瞻西上人、判者:藤原基俊、歌人26名 一番 風 二番 萩 三番 四番 苅萱 五番 露 左 勝 皇后宮摂津君 大進君 勝 上人 勝 散位道経 勝 三宮相模君 右 基俊 勝 左近中将師時 散…

「夕されば 尾花おしなみ 吹く風に 玉ぬき乱る 野辺の白露」(1)

~12世紀初頭の「三宮相模君」~ 11世紀初頭、歌人相模が夫の大江公資とともに相模国府に下向した。その100年後の12世紀は、相模国府という一つの歴史舞台の幕引きが始まった時代、相模国府が平塚から大磯へと遷移した時代にあたる。 12世紀初頭、永久4年(11…

2014.11.7

昨日、東京の友人と一年ぶりに逢った。美しくて美味しい食事も久しぶりだった。しかも、いつもの頭痛も出てきそうになかった。日が暮れるまで、時間も残っている。こんな機会はそうない…友人に地下鉄の駅を教えてもらって、「チューリヒ美術館展」へと向かっ…

2014 .11.5

一週間経って、まだ風邪が抜けないけれど、なぜか外に出たほうが具合がいい。関心が外界に向いて、自分の身体から離れるから…だろうか。 4日、まだあたたかい陽ざしが残るうちに、と海に出かけた。何となく夕焼けを見ることができそうに思った。 浜ではハマ…

2014.11.4

今年の秋の黄葉を知らされたのは、まずカツラの木の葉からだった。雨が降った日、そばを通り過ぎる時、なつかしい甘い香りにひきとめられた。落ち葉を何枚も拾って、その香りを確かめる。 (もしカツラの樹液から美味しいシロップが作れたなら、ホットケーキ…