enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

「夕されば 尾花おしなみ 吹く風に 玉ぬき乱る 野辺の白露」(2)

 ~「雲居寺結縁経後宴歌合」の概略と三宮相模君の歌~
 
永久4(1116)8月、主催:瞻西上人、判者:藤原基俊、歌人26
 
 
一番 風
二番 萩
三番
四番 苅萱
五番 露
勝 
皇后宮摂津君 
大進君
勝 
上人
勝 
散位道経
勝 
三宮相模君
基俊
勝 
左近中将師時
  
散位忠隆
  
三宮甲斐君
  
皇后宮少進
 
 
六番 月
七番
八番 
九番 虫
十番
勝 
上人
勝 
帥殿
持 
三宮甲斐君
  
帥殿
  
覚勢入道
  
前越前守仲実
  
散位顕仲朝臣
  
筑前権守為忠
勝 
上総君  
勝 
木工助敦隆
 
 
十一番 霧
十二番 秋田
十三番 菊
十四番 
   九月尽
十五番 
   
  
前下野守経兼
  
覚入道
  
大弐君
勝 
持 
上人
勝 
散位道経
持 
琳賢
勝 
皇后宮権亮
顕国
  
前越前守仲実
  
前木工頭俊頼
 
 「雲居寺結縁経後宴歌合」について、『新編国歌大観 第五巻』(角川書店 1987年)、デジタル・テキスト版『群書類従 第十三集』(続群書類従完成会 1930年)を比べ、題・歌人・判を表にまとめてみた。
 
 この歌合の五番は「露」の題で、左・三宮相模君、右・皇后宮少進兼昌は次のように詠み、判者・基俊は「左勝」と判じている。
 
五番 露
左勝                            三宮相模君
9  ゆふされば をばなおしなみ ふくかぜに たまぬきみだる のべのしらつゆ
     右                             皇后宮少進兼昌
10  いなづまの ひかりにまがふ ゆふつゆを ひとるたまとも 思ひけるかな
 
 左の歌、少し古めきたるやうに侍れど、させる難とすべきところなし、右の歌の夕露の火取玉と見ゆらむこそ、ことのほかに侍れ、火取玉ばかりならむ露は少なき、譬ひには引き難くや侍らむ、又、露ばかりあらむ玉()は、火取らむこと難くや侍らむ、歌の詞もあまり新しければ、なほ左のよきにや侍らむ
 
(歌は『新編国歌大観 第五巻』(角川書店 1987年)から引用させていただき、判詞については、できる限り漢字に置き換えさせていただいた。)
 
イメージ 1