今年の秋の黄葉を知らされたのは、まずカツラの木の葉からだった。雨が降った日、そばを通り過ぎる時、なつかしい甘い香りにひきとめられた。落ち葉を何枚も拾って、その香りを確かめる。
(もしカツラの樹液から美味しいシロップが作れたなら、ホットケーキやゲルムクヌーデルにかけて…と想像してしまう。)
また、ケヤキの紅葉(黄葉)は、三日見ぬまの…というような速さで、すすんでいく。その深まる色合いは、季節の動きを刻む時計の針のようだ。
図書館に通うたび、並木道から噴水の前に出る。周囲の木々が次々に色づいていく。もうしばらくするとイチョウが黄金色に輝く。一年に一度しかない華やかな季節。
日曜日に出かけた勝福寺の境内では、めだって太く高いイチョウの木を見た。その幹は分け入ることができない林のようだった。『700年もの時間をここで過ごしているのか…』と思う。
また、境内の西の八幡神社には、彫刻像のようなカヤの大木があった。こちらの幹は、何かが潜んでいる洞穴のようだ。特徴のある葉を見て、クリスマスの樹のような…と思う。
そして、勝福寺でいただいた券もナギ(?)の葉のような愛らしいデザインだった。秋は一段と樹木が引き立つ季節のようだ。
林のようなイチョウの大木(勝福寺)