enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2018.11.2

 11月になった。しかし、駅近くのイチョウ並木の黄葉が進まない。1ヶ月ほど前に上陸した台風による塩害なのだろうか、木々の南西側の葉は、ほとんど茶色に枯れているように見える。
 日に日に黄色から黄金色へと色を変え、やがてすっかり散り終わって裸の枝々が冬空に浮かぶ…この10年、そうした風景を眺めてきた。だから、今年は11月の楽しみが少し色褪せてしまったような気持ちになる。
 図書館近くのカツラの木々も、今年はひどく切り詰められ、電信柱のような無残な姿にされた。それからというもの、緑の葉が風にそよぐこともなかったし、黄葉するべくもなかった。ここでも、秋の気配を感じる時間は消えてしまった。
 秋になれば、いつものように、心のなかで戦場ヶ原のカラマツ林に出かけることはできる。カラマツの葉が黄金色の雨のように降りそそぐ道を思い浮かべることもできる。
 それでもやはり、季節が過ぎ去ってしまう前に、どこかで今年の美しい黄葉を目にする機会があれば嬉しい。

駅前の夕空(11月1日)
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