enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014 .11.5

 一週間経って、まだ風邪が抜けないけれど、なぜか外に出たほうが具合がいい。関心が外界に向いて、自分の身体から離れるから…だろうか。
 4日、まだあたたかい陽ざしが残るうちに、と海に出かけた。何となく夕焼けを見ることができそうに思った。
 浜ではハマヒサカキが咲き始めたようだった。この匂いで思い出すのはベッタラ漬だ。まだ若く、元気で働いていた頃、東京駅でよく買い物をして帰った。東海道線の車内で、膝上の買い物袋から、あたりをはばかるような匂いが…。ハマヒサカキはそうした漬物の匂いと似ている。
 
 浜辺はすっかり11月なのだった。渚を学生さんたちが次から次へと駆け抜けてゆく。邪魔をしないように歩く。波の音を聴きながら夕焼けを待つ。砂利が集まった斜面に波が打ち寄せる時、激しい雨粒のような音がする。日没はじきだ。
 陽が沈むと同時に、山の端がオレンジ色に強く光りはじめる。これから、南の空の雲は薔薇色に染まっていくだろう。肌寒くなった。砂の上では青年たちが、わき目もふらずにフットボール(たぶん?)の練習を続けている。私には彼らが修行僧のように思える。
 空を見上げると、夕日を見送った月…十三夜に近そうな月が青く浮かんでいた。
 
11月4日の海
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11月4日の空
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11月4日の月
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