10月もあっというまに終わってゆく。
一昨日、横浜からの帰り道で見上げた空には十三夜の月があった。
さまざまな場所からさまざまな人が眺める…その白さ、その光。
地球から注がれる私たちの眼差しを受けとめ、あまねく光り輝き返す月は特別に近しい星だ。
昨夕、海岸に着くと、東の空に月がのぼってゆくところだった。
十三夜の翌日の月は、まだ寝不足のように淡くふくらんでいる。
浜辺には西陽を受けて照り輝く少年達の姿。
波音を消すように、リズミカルにジャンケンを繰り返す明るい声が響いてくる。
ふり返れば、空いっぱいの光を一ところに吸い込むように強く輝くオレンジ色の雲。
箱根の山々はすでに暗く沈んでしまっている。
富士山だけが薄い雲を天衣のようにまとって、のぼってくる月を出迎えているように見えた。
10月があっというまに終わってゆく。
忙しいわけでもないのに、この時間、この浜辺で、ラスター彩の波跡を見る機会が少なくなった。
海辺近くに生まれ育ったというのに、私はその波跡の輝きを忘れがちに過ごすようになっている。
ジャンケンする少年たち
ジャンケンのあとの少年たち
10月22日の月
10月22日の日没
10月22日の波跡