低山のハイキングとはいえ、葛城山頂上に辿りついたのは13時20分。コースタイムから30分ほど遅れていた。このまま発端丈山を越えて三津長浜に出るか、葛城山を下りて韮山の願成就院に立ち寄るか、修善寺で修禅寺宝物館を見学するか…迷った。
結局、今の時間・体力・気力を考え、頂上の景色を楽しみ下山して帰宅、という最もらくな選択をした。そんな私でも、標高400m前後の山でこれほどの眺望が得られるとは。冬晴れに恵まれたこともあり、楽(らく)して楽しい低山行になった。
城山からのパノラマ
葛城山からのパノラマ
田京の町までの下山途中、葛城山に通じるロープウェーの真下を横切った。頂上に向かうゴンドラに親子連れの姿があった。子どもがこちらに手を振っている。お~い!と手を振りかえす。
麓まで歩き下る人は少ないのだろうか。静かな午後の下山。比叡山のケーブル途中駅で降りて、ひっそりとした紀貫之の墓に立ち寄ったことを思い出した。あの時、琵琶湖と比叡山の自然に埋もれたようなたたずまいに強く心惹かれたのだった。
葛城山麓のミカン園から鳥たちが飛び立ってゆく。樹の下はオレンジ色のミカンで埋めつくされるほどだった。坂の後ろからミカンが勢いよく転がってきて、私を追い抜いていった。
田京の町に出る。道の交差点に不思議な標柱があった。「狩野川洪水位」と記されていた。近づいて、その赤い水位を見上げると、2m50㎝ほどはありそうだった。狩野川台風…私が小学生の頃、この地域に大きな被害を出したのだ。今朝、目にした狩野川の穏やかそうな流れからは想像もつかない。
何人もの人に道を尋ねながら田京駅に着くと、すでに16時近くになっていた。なぜか今日は頭痛が出ない。余力を残して帰宅することができた。
狩野川台風洪水位の標柱(田京)