enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2013.8.5

 日曜日の夕方、浜辺では五時半を過ぎても、まだ多くの人が夏の海を楽しんでいた。
 西の雲間から光が放射状に散らばって、海岸線に沿って並ぶ遠くの建物がくっきりと浮かび上がっている。
 
 ベンチを見やると、何か茶色のバッグのようなものが載っていた。
 近づくと、それは浜辺暮らしの猫なのだった。
 「久しぶり・・・元気?」 私には思いがけない再会だ。
 猫は、喜ぶ私には目もくれず、びっくりするほどの大あくびをして、すっくと立ち上がり、ベンチに爪を立てながら伸び伸びをした。
 『何だか、すごく元気になっている・・・』と思う。眼に力がみなぎって別人(別猫)のようだ。新しい首飾りも、とても似合っている。ベンチの後ろには、網のキャリーバッグが置かれていた。猫とご主人との新しい生活が始まっているのだ。
 
 『今日は、ちょっと戻ってきてみた』
 猫は素知らぬ顔をしながら、そんな雰囲気を漂わせている。
 いつもの浜辺の光と風の中で、どこか”避暑暮らしの猫”になっているね。
 これからも休日に来れば会えるのかな・・・今日は会えて嬉しかったよ。
 
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