enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2013.11.29

 2013年の秋を取り戻したいと思った。
 朝食後、冷ややかな風と柔らかな陽ざしのなかを、総合公園に向かった。
 私にとっては久しぶりの”遠出”だ。途中で街の傘屋さんに寄る。夏に日傘として使い続けた傘を直してもらうためだ。
 その傘屋さんは、子供の頃は小さな仄暗いお店だった。近くの和菓子屋さんが移転したあと、そこに店を移していた。お店は、明るく広くなって、当たり前だが傘がいっぱい・・・傘しかない。「最中」が売られていた店の構えを思い出して、何となく不思議な気持ちになる。店の奥は修理を待つ傘であふれそうだった。私が馴染んだ傘もそこに並んだ。
 公園に着き、のびのびと育った大きな樹々を見上げながら道を廻った。まだ秋が残っている。間に合って良かった。桜の林の間を抜けるとき、足元の枯葉が乾いた音をたてた。甘い熟成した香り。秋の林の香り。ほぼ元通りの身体になったように感じた。気管支も、気をつければ何とかなりそうに思える。馴染みの日傘のように私にも修理が必要な秋だった。
 
11月29日の空
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晩秋の薔薇
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