一千年前の歌人相模にしても、一年が終わろうとする日、やはり過去の時間をふりかえった。文化果つるところの相模国にあって、しかも女性として微妙な年代にさしかかっている自身の人生について、その想いは屈折したものであったに違いない。
280 思ふ事 月日にそへて かぞふれば としのはてにぞ なりにけるかな (『相模集』 はての冬)
そして相模は、より若い頃であっても、未来の時間に光を見出していたわけではなかったらしい。
562 かずふれば としの終りになりにけり 我が身のはてぞ いとどかなしき (『相模集』 初事歌群 冬)
そのような相模であっても、自身の内面世界を発酵させ、蒸留し、百首歌という形に昇華させた。
その百首歌をさらに三部立ての立体的・重層的な構成をとって、個的に閉じた人生を普遍的な文学作品としてたちあげた。
そうした相模によって、21世紀の今の私も力を得て2013年を過ごしてきた。
2014年…私も想いよどみながら生きていける。
12月31日の海(1) 浜辺の人々と空のカイト
12月31日の海(2) 夕日の海つ道
12月31日の海(3) 影絵