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私の第三十四夜をつづります。

2013.12.7

 2013年12月7日 「”日本ヲ、取リ戻ス”トノ復古ノ乱逆ト云フコトハヲコリテ後、富国強兵ノ世トナリニケル也」
 
 中央図書館にもしばらく足が向いていない…次に読む本を探してこようと外に出た。
 途中で、時々見かけるご高齢の人が、いつものように愛犬を連れてお散歩している姿が目に入った。ご主人のあとに従う毛足の長い小さな愛犬は、ご主人よりさらに高齢のように思われる。とぼとぼ、ゆらゆらしたその覚束ない足取りを、つい、目でずっと追いかけてしまった。
 突然、私の右腿と上半身に、強く跳ね飛ばされたような衝撃があった。何のことはない。よそ見をしていて、U字形の車止めに、したたか足をぶつけたのだった。危うく車止めを越えて、向こう側に飛んでしまうところだった。息がとまるほどの痛さ。思わず、何事も無かったかのようなふりをして、両手で車止めをつかみ、痛みが鎮まるのを待つ。すぐには痛みがおさまらないので、車止めに腰かけて休むことにした。こういう時は『やれやれ…』の出番だ。人通りの多い場所なので気が引けてくる。しかたなく歩きはじめる。あの老犬と同じ足取りで。
 久しぶりの図書館の学習室は満員だった。最近読んだ『平安王朝』(保立道久 岩波新書 1996年)で知った「仁寛」(左大臣源俊房の子。1113年、鳥羽天皇暗殺を謀った罪で伊豆国に配流される)について調べてみる。「伊豆配流」といっても、「仁寛」と伊豆山神社との係わりは見つかりそうもなかった。だが、何も成果がなくても、この部屋で本と一緒に過ごすだけで心地よいのはなぜだろう。
 新しい本を借りて図書館を出ると、木立の合間の空はオレンジ色になっていた。図書館で過ごしている時には自分の呼吸を意識していなかったことに気がつく。夜にはもっと自分の呼吸に神経質になるはずだ。足も痛いし。本日二度目の『やれやれ…』。
 
図書館に入る前の公孫樹
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図書館を出た時の公孫樹
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