enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2012.11.20

 木々が日々花芽を太らせてゆく早春。日々葉を濃く茂らせてゆく初夏。日々葉の色を変え散り落ちてゆく晩秋。どの季節のなかでも、自分が取り残されて立ちすくんでいるように感じる。満たされる何か、誠実な何かを待っているような安らぎも感じる。そこには虚無のかけらも無い。めぐる季節には命の裏打ちがある。
 
 海には何があり、何が無いのだろう? 
 海は海に向かう私そのものを写して変幻自在だ。親しくよそよそしくデモーニッシュで虚無的。生命の記憶以前のたゆたうしかない音楽。 
 
 昨日の海は波が砂浜を滑るように行き来して、独り言をしていた。
 11月の夕方の浜辺はすでに指がかじかむほどで、まだ夏の記憶が残る身体を混乱させる。
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