enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2012.12.31

 浜辺暮らしの猫の一年とは瞑想の一年なのだろうか。来る日も来る日もひたすら哲学しているように見える。
 12月31日の平塚海岸・・・浜辺暮らしの猫は、なぜか、いつものベンチの西隣のベンチにすわっていた。豹柄の敷物は、と言えば、いつものベンチの下に落ちている。そうか、猫は落ちた敷物を元に戻すことなどしないのか。私は儚げな敷物を拾い上げ、いつものベンチの上に平らに敷き直した。すると、哲学していたはずだった猫が慌てて(そう見えたのだ)こちらに駆け寄ってくる。
 浜辺暮らしの猫の予想外の反応だった。私はベンチを離れた。それでも猫は豹柄の敷物の上にすぐに飛び上らない。ベンチの端に両手をかけて静かに私のようすをうかがっている。何を考えているのだろう。
 私は猫に「どうぞ」と声を掛け、さらにベンチから離れた。猫はおもむろに、やわらかな敷物の上にすわり直した。再び瞑想のポーズ。いつもの浜辺暮らしの猫だ。敷物が風に飛ばされないよう、そっと石を乗せると、猫はちょっとだけ振り向いた。来年も元気で・・・浜辺暮らしの猫さん。
                                                      12月31日の大島と釣り人
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