enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2013.4.3

 春の花屋さんに入った。
 春の花の匂いがいっぱいだった。
 花屋さんの一人は「お好きな色をどうぞ」と言った。
 花屋さんのもう一人は「男性の方? 女性の方?」とだけ聞いた。
 ガラスケースからてきぱきと選ばれた薄青色のトルコ桔梗と薄黄色のガーベラが
 てきぱきと小さなブーケになっていく。
 好きな花色を聞かれなかったけれど。
 私がもらうブーケではなかったけれど。
 私の好きな花色は青い色、そして黄色。
 
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 四月の雨。
 雨上がりの午後、小鳥たちがケヤキクスノキイチョウの木々の間をとびかって囀る。湿った春の空気はなんとやわらかなのだろう。
 あたり一面に桜が散り敷く。公園の石畳の道では小さな蝋燭の火のようにツツジがほころび始めていた。やわらかな苔の上を裸足の少女が通り抜けてゆく・・・きっとそれが春なのだろう。