enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015.1.14

 昨日、日没に近い時刻に散歩に出ることになった。図書館から借りた『陰陽師』を読み終わると、そんな時間になっていた。
 「ゆこう」と自分に呼びかけると、「ゆこう」と自分が答えて、身体が海に向かってゆく…頭のなかには、まだ晴明と博雅が居残っているらしい。
 作家という妖術師は言葉をあやつり、読み手の脳内に異世界をありありと展開させてしまう。印刷された言葉たちは、いったいどのようなプロセスで像(イメージ)に変じていくのだろうと、いつも不思議に思う。
 行き着いた海には、海そのものがあった。言葉でもなく、イメージでもない、生きている(ように見える)海。言葉をあやつる妖術には縁のない、海そのものだと思った。
 
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1月13日の海・夕景