夏の光と秋の光の入り混じる高原で、 なつかしい風の声を聞いた。
落葉松林を抜ける風の声。
海岸の松林の梢を渡る昔語りの声でもない。
冬の夜、庭の竹笹にささやきかける声でもない。
やがて金色の雨を降らす落葉松林を抜けて、
風が今年の夏の終わりを告げている。
風が運んでいるのは、ほとんどが過ぎ去った時間だ。
木道(入笠の湿地)
孔雀蝶(入笠の花畑)