昨夜、窓から眺めた空には雲ひとつなかった。
白く光る月が、小さな船のように静かに西へと進んでいった。
横向きに寝ころび、右腕をさしだすと、その影が鮮明な左腕になった。
本当に身体につながっているように感じられる、リアルな影の腕。
8月最後の日の今夜、満月がまた枕元を照らしてゆくだろう。
今年の夏の最後に出かけた入笠山には蝉の声は聞かれず、秋の花が咲いていた。
撮った花の写真を調べると、ナデシコ科の花が二つあった。
『相模集』に接してから、なでしこの花が身近になったように思う。
エゾカワラナデシコ
フシグロセンノウ