思えば2013年は元旦から思わぬことが続いていたのだ。2011年の春とは違う性質の、そわそわと不安なことが重なる。それでも三月の陽ざしは背中をあたため、日脚は伸びて、ほっと励まされるのだ。季節は何事もなかったように過去を脱ぎ捨ててゆく。そして振り返らない。
ぼんやりと浜辺にすわり、西方浄土のような光る海面を見ているうちに、胸の中が軽くなっている。
浜辺暮らしの猫は、ベンチの指定席を若い二人連れに譲り、砂の上でうたたねしていた。
カメラを向けると眼を覚ました。サバンナのライオンのような顔つきをする。