図書館の2階で本を借り、3階の学習室に向かおうとした時、後ろから幼い女の子が何か叫ぶように駆けてくる気配がした。
私を追い抜きざま、その子が振り返ってたちどまった。泣きべそをかいて、しゃくりあげている。何歳ぐらいだろう。5歳か6歳か。「どうしたの・・・お母さんはどこかな」 「お母さん・・・(また泣きそうだ) いないの!」
いなくなってしまったお母さん。1階の子供室から2階まで探し回って、見つからなくて、こんなに泣いているのだ。小さな泣き顔は、何だかジブリのアニメに出てくる女の子を思い出させた。貸し出しの係の人が来て、彼女と一緒にお母さんを探しに行ってくれた。手をひかれた小さな女の子の後ろ姿に、お母さんも、あなたのことを探しているよ、と思う。私にもあの女の子のような頃があった、と思う。